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自作小説を掲載したり、興味のあることを語ったりするブログです。
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00:00:00
ブログ開設。

大樹の木陰で涼むような、居心地の良いブログになりますように。

注意!
当ブログは著作権を放棄しておりません。
くれぐれも無断転載の無いようお願い致します。

(あまり堅いことを言う気はありませんので、常識の範囲内でお願いしますね)

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14:48:36
※イカされまくり小説。長いです。焦らし部分もまた長いです。
 妄想元はハンターハンターのアマネです。よろしければ脳内補完をば……。



幸運の女神というやつは、どうやら悪党も好みらしい。
俺なんぞに運を向けるのがその証拠だ。
俺はガキのころから、並外れて性欲が強かった。
見目が醜悪なせいで全くモテなかったが、いつでも性に飢えていた。
近所でも有名な美人をレイプして捕まり、出所したその日にまた行きずりの女を犯った。
挙句には、ただ犯すに飽き足らず、金持ちの娘を攫って自分好みに調教したりもした。
上手いこと逃げ隠れながら、累犯24件。
最後に捕まった時には、さすがにもう娑婆には戻れまいと覚悟したもんだ。
だが、そんな俺を必要とする裏の職業があった。『調教師』という職業が。
仕事内容は様々だ。
風俗に売られた素人娘を仕込んだり、痴女に新しい段階を垣間見せたり。
また変わったものでは、拷問訓練の一環として快楽責めを頼まれる事もある。
今日やるのもまさにそれだ。

調教部屋の扉が開かれ、今日の獲物が姿を現す。
背筋をしゃんと伸ばした歩き姿に、仕立てのいい黒のスーツ、黒のタイ。
雰囲気だけで世間一般とは異なる職種だと解る。
書類によれば女執事の見習いらしい。
執事といえば男というイメージが強いが、女執事にも需要はある。
たとえば中東。イスラムの文化圏において、男が女の居室に入るのは絶対のタブーだ。
だからゲストが女だった場合、男の執事ではサービスはおろか、入室すらままならない。
その点、女執事であればどんな状況にも対応できる。
また、そういう利点を抜きにしても、ハーレム目的で従者を女に統一する資産家も多いと聞く。

ただし、女執事は簡単になれる職業じゃあない。
執事を抱えるような人間は、世界経済に影響を与える大物である場合が殆どだ。
となれば当然、集る虫も多い。
敵対勢力に拉致されて辱めを受けたり、色男と一夜を共にする中で情報を盗まれたり。
名家の女執事には常にそうしたリスクがあり、ゆえに要求される能力も高い。
そのふるいがけを担当するのが、俺のような試験官だ。
『調教師からもたらされる責めの中で、72時間、明瞭な意識を保っている事』
いくつかの特殊な家では、執事の採用テストにその項目を設けている。
志望者の持久力や理性、苦痛および快楽への耐性、気品などが総合的に推し量れるためらしい。
筆記や面接、体力テストなどをくぐり抜けた先に待つ、最終盤の試練だと聞く。
耐え抜けば天国、さもなくば地獄というわけだ。
俺はそこの門番として、エリートの仮面を被った女を地獄に引きずり込むのが役目だった。



「32番、正道一華(しょうどう いちか)と申します。よろしくお願い致します」
女執事見習いは、そう告げて恭しく頭を下げた。
きっちり45度の最敬礼。されていて何とも気持ちのいいものだ。
その所作一つをとっても、間違いなく厳しい執事試験をパスした逸材だと解る。
だからこそ堪らない。
こんな極上の女を、これから丸3日のあいだ好きにできるんだから。

「顔を見せろ」
俺は一華に顔を上げさせ、改めて獲物を観察する。
痺れが来るほどいい女だ。
やや広めの額に、くっきりとした理知的かつ切れ長な瞳、細く長い眉。
顔の上半分はクールビューティ系だといえる。
しかし下半分を見れば、ほんの小さな鼻に、ぽってりと膨らみのある小ぶりな唇だ。
『美しい』と『可愛い』がちょうど良く共存していて、何ともいえず“そそる”。
挙句にはそれらの顔のパーツを、理想的な卵形の輪郭と、きっちり左右に分けた艶やかな黒髪が覆うのだ。
清楚・真面目な雰囲気まで加わり、いよいよ男の理想にピッタリ嵌まる。
間違いない。
他の部屋では、何人もの同僚がそれぞれ志願者を宛がわれている筈だが、一華はその中でも当たりだ。
そして、解ることはもうひとつ。
この一華は、是が非でも執事試験に合格せねばならない立場にいる。
表情こそ能面のようだが、未熟ゆえに切迫した気配を殺しきれていない。
焦りがある。
一般人が夢ありきで執事を志しているのではなく、執事の家系に生まれ、自らもそのレールを進むよう強いられているタイプだ。
その悲壮なまでの覚悟がひしひしと肌に伝わってくる。
だからこそ…………俺は決めた。
この女のアタマを徹底的に快楽で染め上げ、戻れない泥沼に引き摺り込んでやる。
輝かしい未来を、俺という汚れで塗り潰してやる。



「それでは、始めて下さい」
一華に続いて入室した女が、淡々とした声で告げた。
縁なしの眼鏡をかけた、いかにも堅そうな女。
同性を記録係にするのはせめてもの情けだろうか。
俺には、同じ女に見守られながら乱れるのは、余計に心苦しいように思えるのだが。
ともかく試験開始だ。
俺は下に穿いていたものを素早く脱ぎ捨てる。
現れるのは、今日この日の為に3日ばかり洗っていない逸物。
ブリーフを脱ぎ捨てた時点で、自分でも閉口するほどの体臭が部屋に広がる。
まずは洗礼として、こいつを咥えさせてやるとしよう。
「しゃぶれ。隅々まで綺麗にしろ」
俺はあえて横柄に命じる。
「承知しました」
一華は微塵の躊躇もなくそう応えた。そして顔色一つ変えずに俺の足元へと跪く。
完全なる滅私、というわけか。
奉仕に慣れたその様は、彼女が幼少時から執事としての教育を受けてきた事を裏付けるようだ。

事実、一華の口腔奉仕は尋常でなく巧みだった。
舌先を器用に操って恥垢を舐め取り、亀頭にぬめりを与える。
自然に包皮を剥きながら、カリ首に沿ってまた丹念に舐め清め、時に亀頭に戻って鈴口を吸う。
裏筋をちょうどよい舌の圧でなぞり、毛の生えた玉袋までを丹念に口に含んで転がす。
指での竿の支え方や、玉袋の握り具合など、まさに言う事がない。
まさに男の快感を知り尽くしているような、隅々まで行き届いた口戯だ。
記録係が走らせるペンも、この時ばかりは曇りなき良評価を綴っていることだろう。
「ぬっ……っぐぅ!」
思わず声が出る。辛抱堪らず、されるがままに勃起してしまう。
膨張率が半端ではない俺の逸物にも、一華は動じなかった。
縦に咥え込むのが難しいと判断するや、顔を傾けて頬の裏での奉仕に移る。
けれども俺は、その些細な『逃げ』を見逃さない。
やられ放しで終わるなど調教師の恥だ。
「手を膝に置け」
「……はい」
俺が短く命じると、一華は切れ長の瞳でこちらを見上げ、一瞬の後に従う。
そう。一瞬、一華は逡巡した。命令に従うことの意味を察したのだろう。
俺はその聡さを面白がりつつ、一華の黒髪を掴む。
そして後頭部を押さえつけたまま、強引に腰を押し進めた。
今からこの女に強いるのは、女の人権を無視した『イラマチオ』。
どれだけフェラチオの特訓をしようとも耐性のつかない、喉奥への蹂躙だ。

イラマチオの効果は覿面だった。
「ごぉふ、げふっぇえ゛…………っ!!」
喉奥へ飲み込ませてからわずか2秒後、一華は激しく噎せかえる。
フェラチオのあいだ官能的に薄く開いていた瞳は、余裕なく閉じられた。
小ぶりな口は限界まで縦に開かれ、頬に沿って線が浮き出ており、美しいとはとてもいえない顔立ちになっている。
だが、元の造りがいいだけあって、逆にそれがいやらしい。
数秒ほど奥まで咥え込ませたまま、後頭部を押さえていた力を緩める。
「げほっ、ぉごほっ! はっ、はぁっ、はぁっ!!」
その瞬間、一華は激しく噎せながら逸物を吐き出す。
酸素を求めて喘ぐ唇からは、濃い唾液の線がいくつも滴り、スーツのズボンに泡立つ染みを作った。
「苦しいか? 嫌ならここで奉仕を打ち切っても構わんぞ」
俺は、あえて一華に問う。
「…………いえ。お好きなだけ、喉の奥をお使い頂きとうございます」
一華は、片方の目尻から涙を零しながらも気丈に答える。
「ふん、ならそうさせてもらおう。くれぐれも歯は立てるなよ」
俺はそう注意を喚起し、イラマチオを再開する。
それから、何度も、何度も、一華に深く咥え込ませた。
「ごっ、おぶぅぐんんんお゛っ…………!!」
当然、えづき声が上がった。
未知の違和感を前に、一華は無意識にか顔を横へ逸らそうとする。
しかし、俺は両手でしっかりと頭を押さえつけてそれを制した。
あくまで縦一直線に、唾液の潤滑を助けにしながら喉奥へと挿入していく。
そのたび、一華の優れた顔立ちが崩れるのを楽しみながら。
「げっほ、ごぼっ…………ぶふっ! ごぉぉ゛えっ、ああ゛…………がっ…………ッオ゛!!」
えづき声は刻一刻と酷くなる。
さすがというべきは、それほどの状態にあってなお、一華の両手がわずかも膝から浮いていない事だ。
その膝にしても、ぴしりと揃った正座を崩さない。
なるほど品位は相当なものらしい。
だからこそ、イラマチオでの余裕のない様が余計に映えた。

「ごぉっうう゛え゛ぇ゛っ……!!」
6度目の喉奥蹂躙で、一華はとうとう気品のかけらもないえづきを上げる。
この時ばかりは、右手が膝の上で掻くような仕草を見せ、左目が引き攣るように薄く開いた。
しかしそこからは、いくらえづこうとも大きくは乱れなくなる。
「へへ。キツくてぬるくて、すげぇいい具合だぜ……」
一華の喉奥をまるで膣のように用いながら、俺は感想を漏らした。
このまま吐くまでやるのも手だが、恥辱を味わわせるにはまだ早い。
そして何より、俺自身がもう我慢の限界に達していた。
「いくぞ、出すぞっ!!」
俺はそう宣言し、一華の頭を鷲掴みにした。
一華の小さな鼻が擂り潰されるほどに腰を押し付け、食道の奥の奥で猛った己を解放する。
膨らみきった俺の分身は、2度、3度と跳ねた後に精を放ち始めた。
尿道が鈍く痛む。かなりの量が出ている。この日のために数日分溜め込んでおいたのだから当然だが。
「う……うう、む゛っ…………!!」
直接胃へ精液を流し込まれる形となった一華は、喉の奥で小さく呻く。
洗礼は完了だ。
そしてこの喉奥射精は、俺の猛った心を鎮める意味でも有用だった。
俺はこの一華を、ある理由から『徹底的に』乱れさせるつもりでいる。
肉をホロホロに柔らかくするには、長い時間をかけて煮込まなければならない。
コトコトコトコトと、時間をかけて。
その下拵え……つまりは長きに及ぶ前戯の間におかしな気を起こさぬよう、予め一発抜いておいたという訳だ。

たっぷり10秒ほどかけて射精を終え、俺は逸物を抜き出した。
「ふん、まぁまぁの量が出たな。味はどうだ」
「……はい。とても濃厚で…………美味しゅうございました」
俺の問いにも、一華は律儀に答える。途中の間はかなり心苦しげだったが。
一華の口から、唾液とザーメンの入り混じった糸が滴り、染みのできたスーツの下をさらに汚す。
「随分とズボンが汚れちまったな。脱いでも構わんぞ、ソックスも脱いでくつろげよ」
俺は喘ぐ一華を前に告げる。イヤミな物言いだと我ながら思う。
しかし金持ちの中には、こういう持って回った言い方をする人間は実際多い。
ここで少し慣れさせてやるのも、悪くはないだろう。
「有難うございます」
一華は硬い口調で応えながら、すくと立ち上がって革靴を脱ぐ。
そして片足ずつ上げてソックスを抜き取り、畳んで靴の中へ。
次にベルトへ手をかけて器用に外し、ズボンをずり下ろして折り目正しく畳む。
流石は執事候補の女。動きに淀みがなく、かつ品がある。思わず見惚れるような所作だ。
それだけに、貶め甲斐もあるというものだが。

靴とズボンがなくなったことで、ショーツのみを纏った一華の下半身が露わとなった。
スーツ姿でも目を見張るスレンダーなボディラインだったが、脱ぐとまた凄い。
ほどよく肉感的で、流線型の艶かしい脚の形をしている。
下着のモデルをしてもやっていけそうだ。
かつての俺が街中でその脚線を目にしたならば、間違いなく尾行して強姦リストに加えていた事だろう。
「っへへへ、美味そうないい脚ィしてるじゃねぇか。
 そんな脚見せられっと、抜いたばっかりだってのにまた勃っちまうぜ。
 いいか。男ってのはな、そういう脚を見てると、ぶち込みたくなる生き物なんだよ。覚えとけ」
俺は、露骨に生脚を眺め回しながら囁いた。しかし、一華は動じない。
「……はい。貴重な勉強をさせて頂きました」
マネキンかとも思えるような無表情のまま、手を後ろに組んだ姿勢で直立している。
上半身は黒スーツにタイという理想的な執事姿、けれども下半身はショーツのみ。その滑稽さが傑作だ。
「そうだろう。まぁ上がれ」
俺はベッドを指差して一華に命じる。
「はい。失礼致します」
一華は淡々と命令に従う。しかし俺には、その張り詰めた緊張が手に取るように伝わってきていた。
勘のいい事だ。ここからが、辛いつらい焦らし地獄の始まりなのだから。





俺はベッドの上の一華に、『マングリ返し』の格好を命じた。
頭を枕に乗せて寝転がったまま、膝が肩につくほど両脚を引くというものだ。
元より惨めなその姿勢も、今の一華の格好ならまた格別だった。
シルクのショーツを頂点に、白い脚がすらりと伸びる。
その脚の間には、きっちりとスーツを着込んだ上半身があり、その上には真面目そのものの美人顔がある。
これを絶景と言わずに何と言おう。
「いい格好だな。さすがのお前でも、その姿は恥ずかしいだろう」
「いえ。私はただ、ご要望にお応えしたまでです」
俺の嘲りの言葉をかけても、一華はあくまで機械的な態度を崩さない。
これは嗜虐心が煽られる。嫌でも人間的な反応を示させてやろう、という気分になる。
俺はゆっくりと太腿を擦りはじめた。
一華は反応を示さない。大抵の女が反応する、セクハラめいた触れるか触れないかの擦りでもだ。
ならばと、俺は純粋に太腿の感触を堪能しにかかる。
肌に吸い付くような肌理細やかさ。指先で押し込んだ際の張りも相当だ。
さすがは若い女の肌、年増のそれとはモノが違う。

一通り腿の感触を堪能した後は、いよいよショーツに注意を向ける。
上等そうなシルクのショーツだ。
どこを見ても純白で汚れがなく、優れたヒップラインに沿って隙間なく張り付いている。
全体として生地は薄く、非常に肌触りがいい。クロッチ部分だけはやや触感が違い、綿が使われているようだ。
俺は、そのクロッチ部分の少し前……薄っすらと肌色の透けて見える辺りに指を触れさせた。
そこにはクリトリスがある。
女体の中でもっとも敏感な部分にして、唯一快感を得る事にのみ特化した器官。
そこを、薄布越しにゆっくりと撫で付ける。
「っ!」
さすがに、これにはかすかな反応があった。しかしそれもほんの一瞬。
一華はすぐに表情を引き締め直し、天井の一点を眺め始める。
「ふん、隠すなよ。感じたんだろう、機械人形ちゃんよ」
俺は茶化しながら、さらに指での刺激を繰り返す。
クリトリスに強い刺激は必要ない。
親指の腹で押し込み、人差し指と中指で挟み、たまに薬指で弾く。
たったこれだけの事を数分繰り返すだけで、どれだけ気高く我慢強い女も、意思とは無関係に勃起させてしまう。
男がどんなブス相手でも、延々としゃぶられると勃ってしまうのと同じだ。
当然、口惜しさも同じだろう。

唾液で透けたショーツの中、徐々に徐々に、突起物が頭をもたげはじめる。
「へへ、勃ってきやがった。自分でも解るだろ。俺に舐められるのがそんなに嬉しいのか、オイ」
自分の醜悪さを十分自覚した上で、俺は問いかけた。
「はい……有難うございます」
一華はATMの音声のように淡々とした口調で応える。
しかし、やはりまだ未熟だ。言葉の継ぎ目に、わずかながら憮然とした気配が感じ取れた。
もっとも、その人間らしさが面白いんだが。

俺の悪癖が疼く。
相手が我慢しているのが解るほど、本性を暴きたくなる悪癖が。
俺は一華のショーツの端に手をかけ、ゆっくりと腿を滑り上がらせていく。
そして両の足首から抜き取るや否や、裏返してクロッチ部分に鼻を付けた。
ハッとした気配が下から伝わってくる。
それを感じながら、俺は存分にクロッチ部分の匂いを嗅ぎ続けた。
俺にしてみれば嗅ぎ慣れた匂いだ。汗で蒸れたショーツの匂いなぞ、どの女でも大差はない。
それでも、目の前で下着を嗅がれているという事実は、一華の鉄の心を腐食させるはずだ。
弱いジャブであろうと、打っておけば後々への布石になる。

ショーツを十分に嗅いだ後は、いよいよ剥き出しになった秘裂とのご対面だ。
「おほっ」
思わず声が出た。一華の秘裂が実に鮮やかなピンクだったからだ。
位置はやや下つきか。
大陰唇は菱形に近い形で、小陰唇は隙間なくぴちりと閉じ合わさっている。
美しい女性器の見本として教科書に載せたいほどだった。
俺はほぼ無意識に、秘裂へと口をつけた。
まだ微塵も濡れている気配のない緋色の肉に、唾液で潤滑を与えていく。
凹凸の隅々まで舐める気持ちで、丹念に、丹念に。
独特の臭気を伴う肉の味。
脳裏に一華の顔を思い浮かべれば、それがひどく刺激的に思えた。
陰毛が顔をくすぐる事もない。
茂みは几帳面にも、最小のデルタゾーンだけを残して処理されているからだ。

満足するまで秘裂を舐め回した後は、別の部分も味わっていく。
内腿を手で優しく撫でながら、舌でもくすぐるように舐め。
丘を下るようにして、性器と肛門を繋ぐ蟻の門渡りへも入念に舌を這わせに向かう。
「っ…………んっ…………」
一華は、ほとんど声を上げない。
肉体的な反応にも乏しく、たまに反射的に腿などを強張らせるばかり。
そうして頑張られると、余計に虐めたくなるのがサドの習性だ。
俺は舌先を、門渡りから後ろの孔へと移していく。

放射線状に皺の並んだ、まさしく菊の花のようなアナル。
排泄器官だというのが疑わしくなるほどだ。
その皺の一本一本まで舐め清めるように、丹念に唾液を塗りこめていく。
そして唾液が十分に溜まったところで、ずぞぞーっとわざと音を立てながら一気に啜る。
普通の娘なら嫌がって叫んでいるだろう。
だがそれでも、一華は無反応を通していた。
くっきりとした切れ長の瞳は、人形のように天井を見つめるばかりだ。
「ずいぶん大人しいじゃねぇか。実はこっちに慣れてんのか?」
俺はそう言葉責めを投げかける。
ぴっちり閉じたアナルからそれはないと知りつつ、だが。
「いえ。肛門部を性行為に用いた経験はございません」
一華は顔色も変えずに告げる。
結局、指が一本らくに入るほどまでアナルをくつろげても、一華が反応を示す事はなかった。
菊輪は紛れもない性感帯の一つ、これだけ舐めて本当に何も感じていない筈はない。
想像以上の我慢強さ。いよいよ嗜虐心が煽られるというものだ。

一華の余裕を剥がすため、俺は再びクリトリスを責めることにした。
今度はショーツ越しではなく、直にだ。
上唇と舌でクリトリスを挟み込み、包皮を優しく剥いてやる。
そのまま、舌で転がすように舐めていく。
陰核責めは女性の自慰の基本。これを無視できる女は、絶対に居ない。
「っ!!」
一華もやはりそうだった。
クリトリスを責め始めてから数十秒後。『マングリ返し』のまま太腿を強張らせ、小さく息を呑む。
俺はその反応を感じつつ、さらに優しく責め立てた。
全体を舐め転がすような動きに加え、根元をくすぐるように舐めもする。
一般に、根元への責めが最も反応がいいからだ。
自らの腿へ宛がわれた一華の指が、かすかに肉をへこませるのが見えた。

舌の中のクリトリスは、刻一刻と硬さを増していく。おおよそ六分勃ちという所か。
経験から言って、ここに至るころには大体の女が膣を濡らしているものだった。
クリトリスをなお舌で責めながら、俺は指をゆっくりと秘裂の中へ潜り込ませる。
ぐちゅり、と音がした。
思ったとおりだ。この澄ました女でも、クリトリスを責められて濡れない道理はない。
少し指を進めれば、膣壁の一部に盛り上がっている部分がある。
いわゆるGスポット……女体における二つ目の泣き所だ。
ここもクリトリスと同じく、あまり激しくするより、甘く責めた方がいい。
指先でGスポットを撫でるように刺激しながら、クリトリスを舐め転がす。
飴と鞭ならぬ、飴と飴。
甘すぎる調教は、人間をより早く堕落させるものだ。

「……………………ぅ、ぅっ………………………………!!」

小さな、けれども確かな呻き。
それが俺の耳に入る頃には、一華のクリトリスはほぼ完全に勃起しきっていた。
包皮は勝手に剥け上がり、赤らんだ陰核を木の実のように零れさせる。
男なら天を突くような、ギンギンの勃起だ。
こうなってはさしもの一華も無反応とはいかず、小さな喘ぎを噛み殺すしかない。
天井の一点を見つめていた視線も、不安げに下腹部を覗き込むようになる。
だが俺は、まだまだ許さない。まだまだ焦らす。

勃起しきったクリトリスにふーっと息を吹きかけると、一華の腰が蠢いた。
神経が剥き出しになったような今は、吐息でさえ堪らないらしい。
何度か息を吹きかけて愉しんだ後は、二本指でクリトリスを優しく撫で上げる。
クリトリスの根元、包皮とのちょうど境目の辺りを刺激する。
無論、膣内ではGスポットを撫で回しながらだ。
狂おしいほどの快感が下半身を巡っているはずだが、絶対にイカせない。
苦しむ一華を観察しながら、思う存分嗜虐心を満たす。
「…………………………ッ!!!!!」
また声にならない悲鳴が、一華から漏れた。
泣きこそ入れないが反応は上々だ。
Gスポットを責めている膣からは愛液が滲み出し、指が動くたびに水音を立てる。
歯を食いしばった顔が、何かを振り切るように左右へ揺れるのも面白い。
太腿や膝下もひどく蠢き、自らの意思を持つかのようだ。

結局この弄びは、一華の身が『マングリ返し』を保てなくなるまで、数十分に渡って続くことになった。





ベッドから下ろした時、一華は水を被ったような汗をかいていた。
スーツの下に着込んだシャツはすっかり濡れ、肌の色を浮かび上がらせている。
「そう汗を掻いちゃあ気持ちが悪ィだろう。拭ってやる、脱げ」
俺がタオルを水に浸しながら命じると、一華はかすかに身を強張らせた。
上まで脱げば丸裸。
俺のように醜悪で品のない男へ裸を晒すのは、育ちのいいこの女にとってさぞや屈辱的だろう。
とはいえ、逆らえるはずもない。これは執事試験の一環だ。
「温かいお心遣い、感謝致します」
一華は30度の礼と共にそう告げる。
スーツの上着を脱いで几帳面に折り畳み、シャツも同じく畳んで重ねる。
終始背筋を伸ばしたままの、きびきびとした脱ぎ方だ。
そしてブラジャーのホックを外せば、その下からは控えめでない乳房が姿を見せた。
スーツ姿の時はスレンダーという印象だったが、着痩せする方らしい。
おそらくDはあるだろう。
若いだけあって形が良く、皿の上で踊るゼリーのような張りが見て取れる。
性器と同じく、乳輪も淡いピンクだ。全体に色白であるため、その桜色も実に映える。
ウィストラインも実に見事で、モデルとしてもやっていけそうに思えた。
「いい身体してんじゃねぇか。スーツなんぞで隠すにゃ勿体ねえぜ」
俺は絞ったタオルで一華の汗を拭いながら、舐めるように囁きかける。
「嬉しゅうございます」
一華は口調こそ恭しいが、マネキンのように前方を眺めるばかりだ。
まだまだ気丈というわけか。
俺はこみ上げる嬉笑いを殺さぬまま、次なる責めに向けて一華を拘束しはじめた。

両腋を晒す格好で、頭上に一纏めにした両手首へ革手錠を嵌める。
さらにそれを天井からの鎖で吊るす。
無防備にして、屈辱的な格好ができあがった。
腋を晒すというのは、人間が本能的にもっとも嫌うポーズの一つだ。
だからこそ調教には都合がいい。
M気質の奴隷には興奮を与えられるし、反骨心の強い奴隷は疲弊させられる。
また、天井からの鎖も、身体をびしりと伸ばすようにはしない。
長さにはかなり余裕をもたせ、女がある程度腰を沈められるようにしてある。
快感で腰がガクガクになってがに股をつくる様は、見ていて面白いものだ。
さらに、膝を曲げた姿勢の方が腹圧や膣圧が高まり、より膣で感じやすくなるというメリットもある。

身動きの取れない一華を前に、俺はひどく興奮していた。
まさしく極上の女。その極上の女を好きにできるという現状は、夢のようにしか思えない。
夢でないことを実感するため、俺は一華の前に歩み寄った。
指で顎を上げさせ、澄ました美貌を堪能する。
そして、やおらキスを迫った。
「……………」
一華は無反応だ。俺が体重をかけたことで、鎖だけが頭上で鳴る。
俺としては、反応があろうがなかろうが構わなかった。
相手の目を見つめたまま、否応なく口づけを強要する。
まったく役得というもんだ。
俺は昔からまるでモテず、クラスで人気の女子とキスする妄想こそすれど、その夢が叶う事はなかった。
攫った女にキスを迫った時も、いつ噛まれやしないかという不安があった。
それが今は、これだけいい女を相手に好きなだけできるんだから。
「どうだ、俺とのキスは」
これ見よがしにそう尋ねてみる。一華は即座に答えた。
「は、深い愛情を頂いていると感じております」
おそらくは嫌な責めに備えた、この女のマニュアル通りの言葉なんだろう。
だが俺は、その心中を酌んでなどやらない。
「なるほど。って事は、嬉しいんだな? よしよし、ならもっと濃厚にやってやるよ。
 お前ももっと舌を絡ませて、情熱的にやっていいぞ。
 唾液という唾液を交換しきるぐれぇになあ」
「……光栄にございます」
最後の返答にはさすがに逡巡が見られた。だが、肯定は肯定だ。
俺は一華のうなじと腰に手を当て、宣言通り濃厚なキスを繰り返す。
舌を絡ませあい、歯茎を舐め、交換した唾液を飲み下し。
はぁはぁと犬のように荒い息で執拗に貪りつくす。
一華はまるで動じない。
俺のような醜悪な男とのキスなどおぞましいに違いないが、その気配を見せない。
こちらを見ているような、そうでないような瞳を続けるばかりだ。
だがそれも、間もなく変わる。

俺は抱きしめた柔らかな身体を様々に弄り、その末に秘裂へと指を滑り込ませた。
クリトリス責めで焦らしまくった場所だ、当然まだ濡れている。
俺はそれを確かめ、責めに転じた。
親指で陰核を刺激しつつ、人差し指・中指で膣内を刺激する。
「っ!!」
俺の舌の中で、一華の舌が蠢く。反応あり、だ。
俺はほくそ笑み、顔を傾けて更なるディープキスを強いた。

クリトリスと膣の同時責めは、やはり格別らしい。
初めのうちは律儀に直立していた一華の脚も、次第に反応を示し始める。
二回ほど、手の動きを拒むように内股に閉じられ、その後も右足の裏が何度も床から離れた。
「ふはっ……はぁっ、はぁっ…………ハッ…………」
ディープキスから開放すると、一華は激しく喘ぐ。
横を見ている瞳はかすかに潤み、発情の兆候を見せている。
「こっちを見ろ」
俺はあえてそう命じた。そして一華が従うと、視線を合わせたままキスを再開する。
勿論、秘部への責めも継続してだ。

動きに大きな変化などはない。だが、一度濡れた女というのは刻一刻と変化していく。
発汗、手足の硬直、そして……愛液。
どれだけ指責めを続けているのか自分でも解らなくなった頃、一華の愛液は滴るほどになっていた。
親指で陰核をこねながら、二本指で膣内を刺激する。
その手の平から手首にまで透明な液が伝い、床に垂れていく。
むちりとした太腿が強張り、吊るされた鎖が鳴る。
「~~~~~~っ!!!」
口づけを交し合う中で、さも堪らなさそうな叫びが起こった。
だが俺は、冷静に一華の舌を絡め取り、悲痛な叫びを揉み消す。
黙ってろ。まだまだ、あくまで焦らしぬく。そういう意思表示だ。
一華はそれを感じ取ったのか、瞳に戸惑いを孕ませた。

熱をもった膣の締めつけは刻一刻と強まり、ゴム手袋を嵌めたまま熱湯をかき回すかのようだ。
「え、く……っ!」
一華自身、キスをかわしながら絶頂の宣言をするようにもなっていた。
だが、決してイカさない。
本当の際まで追い込んだ時点で、秘部への刺激を緩める。
我ながら残酷だ。
さらに、ただクールダウンさせるわけではない。
ひとまず一華の口を開放するが、すぐに別の場所を責め立てる。
剥き出しになった左腋だ。
「っ!!」
一華は声こそ上げないが、頭上の鎖を煩く鳴らした。
俺はその反応を楽しみながら、丹念に腋を舐め上げていく。
かなりの汗臭さとしょっぱさがある。
それは一華本人もいやというほど解っているだろう。
「汗をかいただけでこんな匂いをさせるなんざ、執事としてはどうなんだろうなぁ。ええ?」
俺は、あえて言葉責めを織り交ぜた。
一華の腋汗は、けっして不快というほどではない。むしろ、毛も含めてよく手入れされているものだ。
しかし一華としては、事実はどうあれ俺の言いがかりを受け止めるしかない。
それは、人に従属する上での必然だ。
「も、申し訳ありません。以後、気をつけます」
気丈にそう答えるが、珍しく話し始めがつっかえていた。
俺はその後も、鼻を鳴らしながら舐め続ける。
そんな俺を、一華はどうやら不気味そうに見下ろしているようだった。

一華の性的興奮は、今や相当なものになっている。
たまに漏れる声や表情からもそれが窺えるが、肉体的な変化はさらに解りやすい。
乳房全体が、最初とは見違えるほどに膨らんでいる。
しこり勃った乳首などは、バキバキに勃起した男根と同じく、見ているだけで痛々しいほどだ。
そして、その痛々しい勃起を呑み込まんばかりに、周りの乳輪も大きく盛り上がっていた。
ふっくらと膨らみ、ほんのりと赤みを帯びた乳輪だ。
そうした弱点を見つけたとき、調教師がすることは一つ。
盛り上がった乳輪を指先でなぞり、しこり勃った乳首をコリコリと指で弄ぶ。
「んんんんんんんっ」
切ない呻きが上がった。
間違いなく強い快感を得ているだろうが、胸への刺激だけで逝ける女はまずいない。
仮に逝ったとしても、ごく弱い絶頂で満足には程遠い。
だからこそ、俺は安心して乳房責めを繰り返す。
乳輪の下側を二本指で挟むように掻き毟った瞬間、一華は特に激しい反応を示した。
「ん、ぁぁ……っ……!!」
一瞬俺の方を振り向いた瞳は、まるで俺を悪魔と罵るかのようだった。
無論、賞賛だと受け取るが。

妊婦であれば、とっくに身体中が母乳で染まっているほど乳房責めを施したあと、次の責めに移る。
背後からの秘裂舐めだ。
鎖の長さを調節して、一華に軽い前傾姿勢を取らせる。
「尻を突き出せ。舐めてやる」
俺の命令に、一華は逆らえない。
「ふーっ……ふーっ…………よ、宜しく……お願い、致します…………」
気息奄々といった様子で応え、言われるがままに尻を突き出す。
腰のラインからそのまま続く、スレンダーな尻だ。安産型とは言い難いが、子供らしい青さとも違う。
ほっそりとしたモデルのそれだ。
俺は思わずぶち込みたくなる衝動を押さえつつ、尻肉を両手で割る。
思わず頬が緩んだ。
尻の合間から覗いた秘裂は、もうすっかり出来上がっている。
赤く充血して膨らんだ陰唇に、はしたなく拡がって愛蜜を滴らせている。
初めはあんなに楚々とした理想的な形だったが、こうなってはソープ嬢のものとなんら変わりない。
諸行無常。調教師をやっているとつくづく実感する単語だ。
もっとも、俺は開発されたエロい性器が嫌いじゃないが。


ねっとりと湿った秘肉を掻き分ければ、濃厚な女の匂いが鼻腔を満たす。
口をつけると、すぐに顔中が愛液でべたつく。
「ひどい濡れようだ。匂いもすげぇ」
俺は、わざと一華本人に聞こえるような独り言を呟いた。
相手が反応しようがしまいが、とにかく責めている間は言葉責めを欠かさない。
逐一惨めな現状を認識させてやる事が、女を早く堕とすコツだ。

「へへっ、美味ぇ汁だぜ。だが少しばかりしょっぺぇな。小便でも漏らしたのかよ、えぇ?」
細かに言葉責めを織り交ぜつつ、背後から秘部を舐めしゃぶる。
火照った身体には、これだけでもかなりつらい。
途中に休みを入れながら、10分ほど続けた頃か。
洞穴の奥からは、いよいよ大量の愛液があふれ始めていた。
口で啜っても追いつかずに、顎のほうへ滴っていくことが何度もある。
俺は、ごくりと喉を鳴らして愛液を呑み込んだ。
ふつう女の愛液なんぞ、美味いものでは決してない。
だが、美人の愛液は話が違う。
一華のように凛とした女の愛液と思って呑み込めば、蜂蜜より甘露に思える。
「………………っ」
自分の愛液を飲み込まれたと察したのか、一華の気配が強張った。
その反応が面白く、俺はしばし無心で愛液を啜り続けた。
鎖の音と、ずずず、ずずずっと汁を啜る音ばかりが室内に反響する。
両頬に密着する一華の内腿が、びく、びくんっと緊張・弛緩を繰り返す。
それはとても滑稽で、とても愉しい。
ある時ふと口を離して観察すれば、一華の腰はガクガクと小さく震えはじめていた。
執事試験の中には、『60キロのマラソンを規定時間内に走破する』という項目があると聞く。
それを通過したこの女が、ここでバテるとは思えない。
疲弊というより、極度の興奮ゆえの痙攣だろう。
俺はそう分析しつつ、さらにギリギリのラインを目指して一華を高めていく。

あえて大股を開かせて舐めると、一華は少し気を抜くだけで“がに股”の姿勢になってしまう。
「あさましい格好だな」
完全にがに股になったと見るや、俺は大声で告げた。
そしてそれに呼応するように、記録係の女がペンを走らせる。
能面のような無表情だが、その面の皮の下ではほくそ笑んでいるのではなかろうか。
「し、失礼しました!」
一華ははっとした表情を見せ、すぐに品のよい格好に戻ろうともがいた。
しかし、俺がぐいと太腿を押しのけ、秘裂を舐めはじめるのでそうもいかない。
むしろ、揉みあううちに余計ひどい状況にもなる。
大股開きの下に俺が潜り込み、真上の秘裂に向かって汁を啜り上げるような格好がそれだ。
「くひぃっ……!!」
一華かなり余裕のない喘ぎを上げる一方で、自分が取らされている格好に動揺を示していた。
俺はそんな一華を前に、わざと片足を高く掲げさせたりする。
両腋を晒して拘束され、あられもない大開脚を強いられたまま、あふれる愛液を啜られる。
挙句にはそれを、冷たい目をした同性に記録されるわけだ。
まったく酷い状況としか言いようがない。
だがその羞恥こそが、引き返せない悦楽への入口でもある。

「ハッ、ハァッ…………ハァーッ、ハッ、ハッ、ハッ………………!!」

一華は項垂れたまま、短い喘ぎを繰り返すようになっていた。
身体中がサンオイルを塗ったように汗で濡れひかり、ほつれた髪が顔にかかっている。
実にいやらしい。
秘裂を舐める間に俺の勃起も天を突かんばかりになり、今すぐ抱きたくなってしまう。
だが、まだ早い。懐中時計で確認すると、焦らしを始めてから約3時間。
まだまだ、ぬるい。
この女のアタマを徹底的に快楽で染め上げ、戻れない泥沼に引き摺り込んでやる。
初めにそうプランを立てた以上、誰が泣こうが喚こうが、曲げるつもりはない。





人間には何か一つぐらい、時間を忘れて没頭できる事があるものだ。
俺にとってそれは……やはり、女を嬲る事だろう。
一華の手錠を外し、戦場をベッドに移してから6時間半。
水分補給のついでに懐中時計を確認した時、俺は自分でも呆れた。
それだけの長時間、俺は夢中になって一華を嬲っていたのだから。

責めは実にシンプルだ。
一華を仰向けでベッドに寝かせ、両膝を立てた状態で脚を大きく開かせる。
そしてその秘裂のごく浅い部分とクリトリスだけを、繰り返し刺激する。
これだけだ。
絶対に指を膣深くは入れない。絶頂も許さない。
この生殺しは、あらゆる女を腐食する。
高級住宅街に住む処女のお嬢様でさえ、これを4時間も続ければ泣き喚いて挿入をねだるほどだった。
一華も、きっとそうだったに違いない。
違いない、というのは、俺はよく覚えていないからだ。
ゲームに熱中するように秘部への刺激に没頭するあまり、一華に注意を払っていなかった。
とは言っても、挿れてと泣き叫んでいればさすがに解るだろう。
一華は、あくまで静かに、しかし色々な反応を示していたようだ。

ああ、そういえば思いだした。
今からおそらく2時間ほど前、10秒以上にも渡って呻き声がしていた気がする。
「ううーーーーーーーーっっ!!!!」
丁度こういう具合だ。それが10秒あまり続き、俺はそれが可笑しくて、余計に淡々と責めた。
するとその後も、ううーっ、ううーっと何度も呻きが上がったと記憶している。
弄くっていた場所の少し上から小便が漏れ、散々に言葉責めで詰ったのはその少し後か。
思えばそこが、一つの転機だったんだろう。
荒い呼吸に混じって喘ぎ声のようなものが聴こえだしたのは、その辺りのはずだから。
くちゃ、にちゃ、にちゃ、くちゃ、くちゃ……という秘裂を嬲る音に、あっ、あっ、という声が合いの手のように響いた。
それがとても嬉しかったのを覚えている。
腰が妖しく上下に揺れるようになりはじめたのも、視界の端で一華の足指がシーツを掴むような動きを見せたのも。
すべてのあの辺りからだった。

しばしの休息ついでに、顔を上げて状況を確認する。
一華の様子はすっかり変わっていた。
艶のあった黒髪は、しなびて海草のように顔にかかっている。
顔は風邪でも引いたように赤らんで、眉は力なく垂れ下がり、瞼も閉じられている。
口元からは涎が垂れているように見えるが、そもそも顔中に滝汗をかいているので判別が難しい。
汗は顔のみならず、全身をくまなく濡れ光らせている。
特に両乳房の間には、首筋からの大粒の汗が何本も流れ落ちていた。
その乳房自体、前よりもさらに膨らんだように見える。
両手は万歳をする格好でシーツを掴んで耐えているらしいが、そのせいで頭上周辺のシーツは皺だらけだ。

視線を下げていくと、俺自身の逸物が視界に入る。
先走りが射精と見紛うほどにあふれていた。
極度の興奮と、たまに姿勢を変える際、シーツで擦れて刺激を受けるせいだろう。
俺がそこまでである以上、一華の愛液も尋常じゃない。
小便を漏らしたことを抜きにしても、夥しい量が飛び散っている。
指で秘裂を開いて観察すると、ヒクつく膣の合間から、白い愛液があふれてくるのが見えた。
「本気汁がどんどん溢れてくるぞ。いやらしいもんだな」
そう言葉責めをかけると、一華の閉じた瞼が震える。

それらの状況を把握して、なお、俺は責めを継続することにした。
今までの経験から言って、この時点で挿入しても、女が乱れることは確実だ。
叫び声を張り上げ、未知の快感に悶え回るだろう。
だが……今日は、その先を見てみたい。
この貪欲な俺が疲れ果てるほど責めた後、どうなってしまうのか。それが知りたい。
「姿勢を変えるぞ」
俺はそう告げ、一華の右脚を持ち上げて肩に担ぐ。
一華は薄く目を開いて視線をよこした。
「まだするのか、とでも言いたげな目だな。図星だろう?
 甘えんじゃねぇぞ。まだまだ可愛がってやっからよ、強情な姉ちゃん」
俺は秘肉を指でなぞりながら告げた。
久々にGスポットを浅く刺激すると、肩に乗せた右脚が痙攣するように反応する。
「ク、っっっ…………!!」
相当に辛そうだ。
さも入れてと言わんばかりの反応……だが一華本人は、片腕で口を抑えて必死に耐えている。

長い戦いになりそうだ。





調教を始めてから、半日が経った。
随時休憩を挟みながら進めたとはいえ、さすがにもう腕が限界だ。
一華は何度も限界に近い反応こそ見せるものの、ギブアップを言葉にすることはない。
ここまでくれば、もはや我慢比べだ。
俺はぐったりとした一華の背後に回り、背を俺の胸へと預けさせた。
この姿勢には意味がある。
綺麗なうなじやら、柔らかい肉やらと密着したい下心もあるが、もう一つ。
人間は後ろ向きに倒れる時、反射的に脚を開くもんだ。
尻餅をつくときだってがに股だろう。
つまりはこの姿勢を取らせている限り、一華は俺が注意するまでもなく、勝手に股を開いているというわけだ。

俺は一華を抱いたまま、ベッドの上で体勢を整える。
壁の一つに備え付けられた姿見へ、ちょうど全身が映り込むように。
「見ろよ、鏡で全部丸見えだ。マンコがヒクヒク蠢いてやがるぜ、だーれも触っちゃいねぇのにだ。
 よっぽどチンポを咥え込みたがってるらしいな、うん?」
「………………っ!」
乱れた黒髪の間から、涙に潤んだ瞳が覗く。瞳は鏡に写った醜態を見やり、歪む。
濡れた秘裂を大股開きで晒す姿は、確かに直視がつらかろう。
特に人間は、自分の傷口を直視すると、余計に痛く感じる生き物だ。
「教えておいてやろう」
俺は、一華の耳元に囁きかける。
「お前はこれから、アソコに触りたくて触りたくて、どうしようも無くなる。
 今でも十分そうかもしれんが、そんな比じゃなく、だ。
 だから……今の内に、手を使えなくしておく」
そう告げて、一華の左右の手首を掴んだ。
それぞれを俺の首の後ろへ。ちょうど、背後にいる俺の頭を抱きかかえるように。
そして、その位置で手錠を嵌める。

俺の顔を挟むように両腋が晒されたせいで、一華のむせ返るような汗の匂いが漂いはじめていた。
脂汗をかなり掻いたせいか、前よりさらに生々しい。
最初にスーツ姿を見た時には、こんな濛々とした臭気を発するイメージは微塵もなかったものだが。
「えれぇ匂いさせやがって。執事試験にゃあ、体臭って項目は無かったのかよ?」
俺の言葉責めで、一華は心から恥ずかしそうに顔を歪める。
その反応を愉しみつつ、俺は責め具を手に取った。
マッサージ器。
有史以来あらゆる責め具の中でも、最も画期的なのがこれだと俺は思う。
「今度は、こいつで可愛がってやる。機械が生み出す細かな振動に、長時間耐えられる人間はいねぇ。
 今まで以上の地獄だぞ?」
一華の耳元に囁きかけながら、俺はマッサージ器のスイッチを入れた。

ほんの一瞬クリトリスを舐めさせる。
ただそれだけで、ぞくんっ、と艶かしい脚が蠢いた。
当然といえば当然の反応だ。
この女は、実に半日という長時間に渡って絶頂間際の焦らしを受けている。
性感帯の神経は極限まで張りつめているだろう。
ほんのわずかな間違いで達してしまうほどに。
その状態をどれだけ継続させられるかが、調教師の腕の見せ所だ。
表面張力ギリギリまで瓶に水を満たし、蒸発で少し余裕ができるたび、一滴一滴注ぎ足していく。
決して零れないように。決して楽にしないように。

十分に濡れきった女にマッサージ器を当てると、面白い現象が起きる。
ブジュジュジュジュジュッと水音がして、あふれ出した愛液が四散するんだ。
勢いよく出している蛇口を指で押さえると、水が四散するだろう。ちょうどあんな具合だ。
「ぅぅ……うううぅ。…………うぅう…………ぅぅうああはあっ………………」
マッサージ器を微弱な出力で押し当てている間、一華からは呻きや喘ぎが漏れる。
刻一刻とその声はくぐもったものに変わり、内腿の筋肉は収縮してマッサージ器を持ち上げ始める。
そしてそれらが、ふっと止まる瞬間がある。
ここが快楽の分水嶺だ。ここをコンマ一秒でも見逃すと、相手の絶頂を許してしまう。
逆にここですっと責めをやめれば、生殺しの継続成功だ。
「ああっ!!」
俺がマッサージ器を引いた瞬間、一華は絶望に満ちた表情でその先端を追う。
飢えきった獣が、肉の皿を下げられた瞬間のようだ。
「…………そんな………ぁあ、そんなっ………………う、ああ……あ………………っ!!」
涙と涎を垂らしながら、ブツブツと未練を零す一華。
俺はその横顔を眺めるのが、たまらなく好きだ。
「はははっ、全身でイキたいイキたいって主張しやがってよ。本当にあさましい女だな、オマエ。
 どうだ、はち切れそうなぶっといのが欲しくなったんだろう。
 挿れてって一度、たった一度でもおねだりすりゃあ、すぐに苦しみから解放してやる。
 勿論、こんな早くにチンポ求めるような色狂いはまず落第だろうがな。
 だがまぁ、早ぇトコ諦めちまいな。名家の執事なんぞ、お前さんにゃ荷が勝ちすぎたのさ」
俺は一華に囁きかける。
目的をダシに煽れば、この女は必ず、強気な瞳で気を持ち直すからだ。
「…………はぁっ、はぁっ…………つ、謹んで、お断り致します…………!!」
あくまで硬い口調で告げてくる。
涙まみれ、鼻水まみれ、涎まみれの分際で。
そんな姿を見せられると…………ますます、惚れてしまうというもんだ。

直前の様子からして、クールダウンに充てるべきは8秒。
俺は経験でそれを算出しつつ、きっかりに会話をやめてマッサージ器を秘部に近づける。
毎度毎度、押し当てるだけなんて野暮はしない。
マッサージ器の用法は、それこそ四十八手が作れるほどにある。
側面を陰唇に宛がう、クリトリスに触れさせる。
頂点の丸い部分を陰唇に、クリトリスに。
間に指を挟んだ状態で、筆の先を介して、あえてシーツに半分ばかり衝撃を吸収させて……。
その全てで感じ方がまるで違ってくる。
それらのテクニックを使い分けながら、威力も都度変え、出来うる限り限界寸前を維持するわけだ。
前にやった責めを模倣するのも面白い。
たとえば、膣とクリトリスの同時責めだ。
膣への緩やかな指責めと平行して、クリトリスを触れるか触れないか程度にマッサージ器で撫でる。
これをやると……女ってのは『泣く』んだぜ。
前とやってることはほぼ同じなのに、ボロボロと涙が零れていくんだ。
ここまで来ると、あまりにも快感が強すぎて“痛み”だと脳が判断するのかもな。

俺は、さらにたっぷりと一華を愛してやる。
マッサージ器の頂点にある球体部分で、クリトリスを押さえつけるように責める。
威力はやや強めでだ。
「んんんんんっ…………ふむぅうっ、ううっ…………うんうううぅう“っ…………!!」
一華は出産時のように息みながら、少しずつ顎を上げていった。
視線の角度が水平から60度ほど上がったところで、俺は機械を遠ざける。
「く、く、ぅうっ…………!!」
一華は皺にまみれた悲痛な泣き顔を晒した。
今回は、絶頂寸前からやや早い。時おりこうして緩めの責めを混ぜる事が、長く続けるコツだ。
勿論、その次はまさに限界の際の際まで追い込むが。

もっともこの女が好む『膣とクリトリスの同時責め』を用いて、とろ火で危険域にまで煮立たせていく。
首の後ろで、手錠が痛いほどに俺の肌を圧迫する。
「あぁ…………ぁぁぁ…………ぉ……。……ぉお、っほおお…………ぉおおおお“……ッ!!!!」
ついに聞き慣れない喘ぎが出た。
姿見に視線を移せば、真実がわかる。一華は、とうとう白目を剥きはじめているようだ。
口を『お』の字に開いて顎を引き、心の底からという様子で濃厚な快楽の呻きをもらしている。
普通なら調教の最終段階に見せる反応だ。
だが、無理もない。
膣に指を入れれば、容易に触れられる位置にまで子宮口が下りてきている。
普段は軟骨のようにコリコリとした感触のものだが、今はそれがだいぶほぐれていた。
やろうと思えば小指の先ぐらいはねじ込めるだろう。
この子宮口をほぐすために、寸止めの焦らしを重ねてきたようなものだ。
ポルチオ性感は、軽い絶頂を数知れず重ねた果てにようやく目覚める、女体最後の難関。
それだけに、快感の量はクリトリスや膣内の比ではない。
クリトリスは局所的に痺れるよう、Gスポットは下半身に電流が走るようだというが、
出来上がったポルチオの快感は、雷に打たれたような快感が数十分にも渡って継続するという。
「解るか。ここが子宮口だ。今おまえ、子宮口を触られてるんだぜ」
俺はあえて言葉に出しながら子宮口を弄くり回す。
一華はすごいもんだ。
俺がほぐれた子宮口を指で押しつぶすと、その一瞬だけ完全に白目を剥く。
スレンダーな身体が痙攣をはじめる。
「おほっおおぉおおおっ…………!!!」
通り一遍のセックスでは絶対に出ないような、深い快感の呻きを上げながら。
不思議なもんだぜ。
横顔は美人、白い喉も美形、膨らんだ乳房は理想的で、腹から下のスタイルは超モデル級。
そんな、ボディラインだけで勃起させてくるようなイイ女が、メスとして最低の呻き声を上げる光景ってのは。

一華の痙攣が細かくひどくなってきたところで、俺は一切の責めをストップさせた。
「あ……っ!!」
一華はなおも肩の辺りをピクピクと痙攣させながら、俺の方に視線を寄越す。
こういう瞬間の女の表情ってのは、ゾクーッとくるぜ。
何というか、ものすごいんだ。瞳孔に光がなくって、半開きの口が涎垂らしてて。
ドラッグを極めた果てのような…………まぁ、脳内ドラッグはガンガンに垂れ流しになってるんだから当然か。
2秒もすれば瞳孔に光が戻って、潤んだメスの顔になるんだけどな。
ともかく、ついさっきの追い込みは本当に際の際だ。
当然、長めのクールダウンが必要になる。とはいえ、本当に休ませるわけじゃない。
こういう時に間を持たせるのは、乳房がいい。

半日以上の焦らしで、焼きたてのパンのように膨らんだ乳房だ。
こうなった乳房は、もうどこを触っても性感帯に近い。
根元から丹念に揉み上げていくのが定石だが、その時点でもう女の反応が凄い。
なるべく無反応を通そうとする一華でさえ、ああっ、はあっ、ああっと常に声が出るんだから。
そんな状態で、これまたぷっくりと膨れた乳輪、そしてその先の突起を揉み潰してやれば……。
「ンああぁああああああーーーーーっっ!!!」
耳を聾する絶叫が迸る。
「フン、乳を揉まれただけでなんて声出しやがる。もうお前、完全に出来上がってんじゃねぇか。
 いい加減に諦めてラクになったらどうだ。あと、どれだけ時間があると思う?
 ここまででせいぜい半日。たったの半日だ。
 期限は丸3日だから、まだ60時間ほど残ってる。
 たった12時間でここまでヘバったお前が、今からその5回分の時間…………耐え切れると思うか?
 無理矢理耐えたにしても、脳がブッツリ焼ききれなきゃいいけどよォ。
 俺が何も大袈裟なこと言ってねぇってのは、もうお前自身がよく理解してるだろ」
俺は言葉責めを繰り返す。
事ここに至っては、奮起を促す目的はない。言葉通りの陥落を誘ってのものだ。
ここまでの作業は、硬い岩盤をツルハシでひたすら砕くようなものだった。
だがその岩盤も、今やほとんど瓦解しかけ、手で容易に取り除けるほどになっている。
あと一押しだ。
だが、一華にも意地がある。あるいは、是が非でも名家の執事にならねばという責任感か。
「んんんん゛っ……ん゛、ぐくっ…………んんんぁぁ゛あああ゛っっ…………!!!」
俺の本気の焦らし責めに、一華は激しく喘ぎながらも、歯を食い縛って耐え忍んでいた。
俺の首後ろへ回った手に、何度も、何度も力が込められた。

この女は、本当によく耐えたものだと思う。人間としての限界…………いや、おそらくそれ以上に。
姿見には、人が崩壊に向かう様がありありと映しだされていた。
刺激を貪るように、細い腰が跳ねてはベッドを軋ませる。
頭がガクガクと揺れ、幾度も白目を剥きかけながら、しなびた黒髪を振り乱す。
「かっ……ハァッ……あはぁっ……はぁっはぁっ、んはあっ、うはぁああぉおおお゛っ…………!!!」
激しい喘ぎや呻きが繰り返された。
かとおもえば俯き、駄目、駄目、駄目…………と呟くこともある。
快楽への抵抗か、それとも執事試験への未練か。
熱に潤んだ視線は様々に惑い、救いを求めるかのようだ。
けれども救いは与えられない。俺が与えない。

「…………もう、もう無理ぃぃいいいい゛い゛っっ! お願い、おかじぐなるっ!!
 イカせてっ、イカせてイカせてぇぇーーーっ!!!」

一体、どれだけの時間が経った頃か。とうとう一華は絶叫を迸らせた。
もはや丁寧な喋り口調など微塵もない。いやそれ以前に、明らかにヤバイ声色だ。
記録係がガリガリと煩く評価シートをつけているが、もはやそんな事を意にも介さず呻いている。
とうとうこの女、正道一華は音を上げたんだ。
実に14時間……朝の8時から始めて、夜10時まで続く生殺しの果てに。





俺は一華の腕の間から頭を抜き、正面へと回り込んだ。
大股を開く一華と正対する格好だ。
この女もつらいだろうが、俺だってつらい。
14時間の焦らしの間に、俺の逸物はここ数ヶ月ないほどに勃起して反り、先走りを滴らせている。
だが、獲物に焦りを悟らせないのが調教師の鉄則だ。
「さて…………と」
あえて緩慢な口調で告げながら、一華の右内腿に手をかける。
肌自体はしっとりと吸い付くようだが、ぬめる汗が掌との間に膜を作る。
「こんなにヒクつかせやがってよぉ」
俺は片手を逸物に添えながら、ゆっくりと一華の秘裂をなぞり上げた。
秘裂がまるで本物の唇のように、蠢いてカリ首を舐めてくる。
まるでごく表面の粘膜にもかかわらず、風邪を引いているかのような熱さだ。
「はっ、はやくっ……はやく挿れてっ!! い、今イキたいの、今じゃなきゃ嫌なのっ!!」
一華は余裕のない様子で絶叫する。
心だけが子供に戻り、お菓子をくれと愚図るかのようだ。
あくまで相手の求めによる挿入。これで、調教師としての面子は保たれる。
「ったく、仕方ねぇな…………。行くぜ」
俺はそう告げながら、今度こそ亀頭を秘裂へと宛がった。

蕩けきった肉ビラを通り抜け、しとどな愛液を潤滑にして一気に奥まで突き抜ける。
熱さが一気に逸物を包んだ。
ぶにゅっ、とグミを噛み潰すような感触が亀頭を襲った。
子宮口にぶち当たったらしい。
「……いっ、っっうぅーーーーーーーーーーっっ!!」
一華は整った顔を歪ませ、喉の中で絶頂の声を途切れさせる。
叫ぶ瞬間に喉の筋肉が硬直し、外に漏らすことが出来なくなったんだろう。
ポルチオ逝きは身体中に強い電流が流れると聞くが、こういう反応を見ると納得する。
極まった瞬間には硬直して痙攣し、波が収まった後は激しく喘ぐ。
「ハッ、ハッ、はっ、ハッ、はぁっ…………!」
信じがたい快感、と言わんばかりに目を見開き、犬のように息を吐く一華。
苦しそうだが、まだまだ休ませない。
俺は一度腰を引き、再び打ち込んだ。子宮口を俺の杭で押し込むように。
「っ……! い、っくぅうううううーーーーっ!! いくうっ……っく、いく、いっぐううう゛っ!!!!」
今度は、悲鳴がうまく喉を通り抜けたらしい。部屋の壁が震えるような声量だ。
俺はそれを堪能しつつ、さらに腰を打ちつける。
ただし、注意深く。亀頭の先にグミのような子宮口が当たる感触は、かなり射精感を高める。
あまり大きな動きはリスキーだ。
最奥から数センチばかり引き抜き、小さく突いていくやり方が一番賢い。
ゴツゴツと打つんじゃなく、リズミカルに子宮口を押し込むように。
ポルチオの蕩けた女が相手なら、これだけで十分に効く。

「あああイグッ、いぐいぐイグイグッ、い゛っちゃううう゛ぅーイグゥ゛ーーーーーっ!!!
 はぁっ、あっ、はぁっ…………まって…………あい、いえっ、お慈悲を…………お慈悲をくだざい゛!!
 ずっと達していて、息が…………くっ、くぅしい゛っ…………!!!」
正常位でのポルチオ責めを続けるうちに、一華は苦しみを訴え始めた。
執事見習いの意地か、たまに丁寧口調になる事もあるが、すぐに素が出てしまう。
休憩なしでの連続絶頂。まあ溺れているようなもんだ。
特にポルチオの刺激は、子宮や内臓までが揺さぶられ、腹全体に未知の快感が走るという。
のた打ち回るのも無理のない事とは思う。
だが俺は、そんな一華をあえて追い込んでいく。
寸止めが尊厳を賭けた駆け引きとすれば、ここからの絶頂地獄はまさに存在を賭した勝負だ。
ただ、こういう極限状況となれば、女の抵抗とて馬鹿にできない。
例えば今も、俺は正常位で一華に挿入しながら、その両腿を腕で押さえつけている。
しかし、その腕がまたひどく跳ねるんだ。
大の男がそれなりの体重をかけて押さえ込んでるってのに、それを跳ね除ける脚力。
脳が焼き切れかねない恐怖ってのは、それほどのものらしい。
俺は抵抗を計算に入れ、責めを適度に緩めつつも絶え間なく継続する。
ここから先の勝負、本格的な休息は、たとえ一分でも許さない。

「んひぃっ、お゛っ、おっぐ、んんっあ……あ、いぐっ!! 
 んっ……あ、はっ…………んぐうっ、あお゛……ぉお゛イグ……ぅ…………っ!!!」
俺が子宮口を押し込むリズムに呼応して、一華が喘ぎを漏らす。
その頭上では錠で繋がれた両手がシーツを掻き毟り、快感と苦しみを表している。
一華の膣内は、いよいよ反則的な心地良さになっていた。
バルーン現象が起きている。
膣内が蠕動し、奥まりが膨らんで圧迫感が増す。
ペニスを逃すまいとするかのようなそれは、受精への備えだ。
一華の肉体は、意思とは無関係に、男を迎え入れる体勢を整えてしまったらしい。
そろそろ、次の段階に向かう頃合いだろう。
浅瀬から急に深みに嵌まって喘ぐ一華を、更なる深海へと引き摺り込む段階に。

俺はこれでも、一華にはある程度の情けをかけている。
初めが正常位ってのも、限界ギリギリの一華をぶっ壊さないためだ。
やろうと思えばいくらでもキツくできる。
例えば……今はあえてMの字に曲げさせている両脚を、真っ直ぐに伸ばさせてやることも。
あらゆる女が本当の本気で逝く時、一つ共通する動きがある。
それは……足が爪の先まで、ピィンと伸びる動きだ。
女は本当に気持ちがいい時にこれをやる。逆を言えば、脚をピンと伸ばしたままの絶頂は、女にとって致命的ということだ。

「おおおおお゛っ!! ふかいっ、ふかい゛いいっ!!! いや、いやこれいやあ゛っ!!
 あああっ……はあっ!! んああぁああああ゛あ゛あ゛っ…………!!!!」
姿勢を変えた瞬間、一華の叫びが変わった。
ますます鬼気迫ったものへと。
俺は膝立ちになったまま、『ピンと伸ばされた』一華の両脚に割って入る形で挿入していた。
この格好でなら、一華の腰を掴んで引きつけ、亀頭の突きとでポルチオを挟み潰す事ができる。
圧の強さは正常位の時の倍。一華が深い深いと叫ぶのは、こういう事情だ。

当然、一華から余裕は失われていた。
クール系の瞳は、ただ涙ながらに虚空を惑う。
愛らしさを感じさせる鼻は鼻水にまみれ、口は童女のようにはしたなく開ききっている。
頭上の手はいよいよシーツを掻き毟り、スレンダーな身体が痙攣を繰り返す。
俺はそんな状態の一華を、あえて容赦なく責め立てた。
ポルチオ責めの強さとタイミングをコンマ秒単位で変化させ、犬のような息遣いの他には、『イク』という言葉しか発させない。
「イクーっ! いくいくイクイクいくっ、ああっはあっ、イクーッいーっ、いくーーッ!!!」
部屋には悲鳴のような嬌声が響き渡っていた。
その状態を続ければ、そのうちに一華の両腿はこむら返りが起きたように硬く強張ってしまう。
そしてそれがゆっくりと弛緩しはじめると、一華の反応が急激に収まる。
「うう゛…………うっ…………う゛………………」
小さな呻き声が聴こえてきた。
腰を止めて表情を窺うと、案の定というべきか、白目を剥いて失神している。
光を孕まない瞳孔の上半分が半開きの瞼に隠れ、眉は垂れ下がり。
汗まみれでピクピクと痙攣する様は、中々に危険な香りがする。
だが俺は、そんな状態でも一華を休ませない。頬にきつくビンタを食らわせて気つけする。
「う゛っ!?……げほっ、げほっ!!!」
すぐに一華は、瞳孔を狭めて激しく噎せ始めた。ちょうど溺れた人間が意識を取り戻したように。
「気ぃついたか。続けるぜ」
我ながらドスの利いた声で告げ、また淡々とポルチオを突き始める。
「あ…………いや、嫌…………!!」
一華は怯えた表情でかぶりを振った。
今の失神は、一華自身の防衛本能によるものだ。膨大な快感で脳が焼ききれないように。
その快感が強制的に繰り返される恐怖は、流石のこの女でも耐えがたいらしい。

セックスの主導権は、完全に俺にあった。
一華は断続的な絶頂を嫌って体勢を変えようとするが、俺がそれを利用する。
その末に今は、特に膣イキしやすいといわれる背面側位の格好になっていた。
大股を開いたまま逸物を受け入れ、内腿をテラテラと濡れ光らせる姿は、異常なほどエロチックだ。
焦りを隠せない、ひきつった表情もいい。
「もうやめてっやめてやめてぇぇっっ! ああいやぁっ、も゛ぉっイキたくないい゛っっ…………!」
必死の呻きは今も続いている。
何度も失神と気つけを繰り返すうちに、いよいよ気品も無くなってきていた。
もはやスーツを着込んだ執事候補生の面影はない。ただの、柔肉を纏ったメスだ。
俺は、顔を上げて記録係にアイコンタクトを送る。
『調教師からもたらされる責めの中で、72時間、明瞭な意識を保っている事』
それがこの試験の合格条件だ。
もはや明瞭な意識を保っていないと判断できた時点で、“試験”は続行の理由を失う。
記録係は俺の視線に対して頷き、椅子から静かに立ち上がった。

「試験者番号32番。二次試験で同室になった者のファーストネームを、1分以内に6つ挙げなさい」
問題自体はけして難しくはない。一華であれば易々と列挙できるはずだ。
素面の状態で、なら。
「……っ!」
一華は、唐突な問いに驚愕の表情を見せた。そして驚愕はすぐに焦りに変わる。
この部屋に来たばかりの時は、けして露わにはしなかった感情だ。
間違いなく普通ではなくなっている。
「…………あ、あっ…………ど、同室…………え、あ、ああ…………っ!!
 さ、彩加…………あ、あうっ………………え、エリ…………愛梨…………
 そ、それから…………それ、から………………?」
「残り20秒」
記憶の呼び起こしに苦心する一華に対し、記録係の女は冷ややかに告げた。
まったく良い性格をしている。
俺は必死に最後の足掻きをする一華へトドメをくれてやる事にした。
背面側位で深くポルチオを愛しながら、同時にクリトリスへと手を伸ばす。
クリトリスによる絶頂と、ポルチオからの絶頂。
深さも質もまったく違う二種類の絶頂が同時に襲ってきては、今の一華は耐えられない。
「んぉおおおっおお゛お“っっ!!!!」
甘い声が響き渡った。
相当に深く極まったんだろう。舌を押し出す、今まででも最高に凄まじいアクメ顔だ。
その表情が嬉しくて、俺はますますサドの気が乗ってしまう。
当然、クリトリスを優しく虐めるのはやめなかった。
「残り10秒。……9、……8、……7、……」
「あああっ、あの、あっ…………はあああっ、だめ、ぇっ! 頭が、ああ頭があぁ…………っ!!」
一華は錯乱気味に叫ぶ。
そしてその焦りも空しく、記録係は静かに×印をつけてペンを置いた。

「試験者番号32番、正道一華。あなたはこの段階で、持ち点の全てを失いました。
 これ以上の試験は必要ありません。…………不合格です」
記録係の無機質な宣言がなされる。
それを耳にしながら、一華は呆然とした様子でいた。
狭まった瞳孔を揺らし、唇を細かに震わし…………そして、全身で震えた。
「い、いやああぁぁぁっ!!!!!!」
己の全てが否定されたかのような狂乱ぶりだ。
俺はその様がおかしく、ついクツクツと笑いを漏らしてしまう。
一華のキツイ目が俺を振り向いた。
「あ…………あなたは、悪魔よっ! あんなに執拗に焦らされて、たっ、耐えられる訳ないじゃない!
 私がこれまで執事になるために、どれだけ努力してきたか理解できる!?
 それがあなたのような下劣な男の、遊び半分で…………ッ!!」
怒りに声を震わせながら、一華は叫ぶ。間近なもんで、鼓膜がえらく痛んだ。
「ヘッそうかい、そいつは残念だな。だがそれでもお前は、最後まで耐えなきゃならなかった。
 無茶と思うか? 実際、確かに無茶だろうな。
 だが特殊な執事に求められるのは、そういう人間離れした能力なんだよ。
 それを無理だと思う時点で、お前も所詮は凡人寄りだ。
 ……ま、安心しな。すぐに脳ミソを快感で塗りつぶして、そんな事ァどうでも良くしてやる」
俺は一華を諭しつつ、気合いを入れなおした。
“試験は”終わったが、俺からすればこの後がもう一つの山場。

この仕事には一つ、とんでもない旨みがある。
『調教対象が試験から脱落した場合、“双方の合意さえあれば”、その身柄を調教師が引き取ってもよい』。
そういう不文律が。
俺が一華を快楽堕ちさせようとしているのも、この為だ。
一目見た瞬間から決めていた。この上玉は、何が何でも俺の奴隷にしてやろうと。
まず試験から脱落させるという目標はクリア。
あとはこの気丈な女を骨抜きにし、俺に忠誠を誓わせるのみだ。




屈服……それだけを目的にして、俺は一華を責め続けた。
そう言えるなら、調教師としてどれだけ面子が立つことか。
だが実際には違う。14時間ものあいだ焦らしたセックスは強烈すぎた。
一華は勿論、俺もセックスを覚えたばかりの高校生のように、夢中になって快感を貪ってしまう。
「あっ、かはっ!! ううあ゛っ、ああぅ、はうっ! あああ、いぐっ…………ああ、はーーっあ!!」
一華の唇からは絶え間なく喘ぎが漏れていた。
俺はそんな一華の左脚を肩に担ぎ上げながら、松葉崩しの姿勢で繋がっていた。
腰を動かすたび、膝裏のぬるぬるとした体液が俺の鎖骨を舐める。
無理もない、お互いが汗まみれだ。結合部付近は、脂汗とも愛液ともつかないもので隙間なく濡れ光っている。
もはや鼻も慣れたが、改めて嗅げば噎せるような匂いが立ち込めている事だろう。
まさに男と女のセックス、その極致とでもいうように。
体温もお互い異常なほど上がっている。湿った膣内はもはや“熱く”、朝一の小便の中で腰を振るかのようだ。
結合部からどろりと愛液が漏れ、尻の方に垂れていく時なんぞは、思わずむず痒くなるほどに熱い。

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、とお互いの呼吸ばかりが繰り返される。
その最中、不意にどうしようもない射精感が襲ってきた。
「ぐうっ!!」
俺はポルチオの穴に亀頭をはめ込むようにして動きを止め、波が過ぎるのを待とうとする。
だが遅かった。あるいは、どうやっても無理だった。
複雑にうねるきつい膣の中で、俺の怒張も意思とは無関係に跳ね始める。
びくっ、びくっ、びくっ、びくっと四度ばかり跳ねるのを感じた直後、ごく自然に射精が始まった。
放尿と変わらないぐらいの自然さだったが、射精であることは尿道の感覚で解る。
「あああ……出ちまった」
俺は喘ぎながら、目の前でぐったりする一華に告げた。
「……いや、ぬいて…………そんな中で、出さないで………………」
一華は拒絶の言葉を漏らすが、それも熱に浮かされたうわ言のようなものだ。
一華も逝っているようだった。
大体にして、膣奥は射精の最中にも、精子を内へ内へと飲み下すような動きを繰り返している。
それが余計に俺の射精を後押しするんだから、出すなも無いもんだ。

長い射精の最中、俺の視界はぼんやりと白いシーツを彷徨う。
皺だらけのそれの上には、様々な道具が散乱していた。
愛蜜まみれのローター、バイブ、マッサージ器。そして外れた手錠。
もはや、一華に拘束具は必要ない。
試験が終わっている以上、一華には調教に付き合う義理もないが、どのみち足腰が立つ状態にはない。
セックスに次ぐセックス。その合間の休憩にも、道具を使ってポルチオ性感を保ち続けているんだから。

数秒の後、ようやくに射精が終わる。本当に、溜まりまくった小便をした後のようだ。
だがそれを経た後も、俺の逸物には驚くほどの余力が残っていた。
さすがに痛いほどの完全勃起からはやや後退したが、ほどよく弾力を持った、小便も射精もしやすい勃起具合だ。
まだイケる。俺は思わずほくそ笑んだ。
どうやら興奮が極度に高まっていれば、男もかなりの射精を繰り返せるらしい。
まだまだ、一華の肉体を貪れるというわけだ。

セックスを始めてから、どれだけの時間が経ったんだろうか。
俺は、何回射精したんだろうか。
意識はバターが溶けたように不明瞭で、セックスの快楽だけが腰を突き動かす。
いつでも下腹部に何かが溜まっていて、空腹感はなかった。
喉が渇けば、備え付けのワインセラーから一本を引き抜いて、一華との口移しで呑んだ。
ワインによる酔いが、また俺達を下劣な段階へと引き込むのを感じながら。
「おおぉお゛お゛お゛っ…………!!」
どちらともなく、獣のような呻きを上げる事が多くなってきた。
常に息切れしていて苦しいので、声が『お』の響きに近くなるのは仕方のない事だ。
その状態で、脊髄から感電するような痺れが上がってきたら、やはりこんな声が出る。
一応言っておくと、絶頂していない時に一華が出す『あっ、あっ』という喘ぎは、反則的に可愛いんだがな。
女が媚びる時に使う、作り声ってあるだろう。完全にアレだ。アレが素で出ている。
そんな声が出る以上、一華の反応も普通じゃない。
「ううう゛っ、うああう゛ぅうっーーー!!!」
俺が膣内を突きながら下腹を擦ってやると、ビクビクと細い腰を悶えさせる。
ポルチオが完全に開発されれば、こういう表面からの撫でだけでも逝ってしまうらしい。
この状態で逸物を抜けば、名残を惜しむように秘裂から潮が吹き出てくる。
ぶじゅっ、じゃばばっと、かなりの勢いでだ。
「へっ、また漏らしやがって。よっぽど気持ちよかったみてぇだな」
「ふんん゛っ…………!!」
俺はその度に茶化すが、一華は腕で口の辺りを押さえたまま、必死に何かを堪えるばかり。
その堪えているものが甘い囁きだと、肌で繋がる俺にはよく解る。
「ふん、強情だな。だが果たして、これに耐えられるかな」
俺は一華に肩を貸してベッドから下ろし、シーツに両手をつかせる。
後背位。
最も膣内を深く突きやすい体位の一つで、なおかつ脚を踏ん張れるために締まりも悪くない。
そして犬のように犯される格好は、女の被虐心を目覚めさせるのに都合がいい。
ドギースタイルとはよく言ったもんだ。

「ああっ、あああぁっ!!!!」
ぬるりと奥まで挿入した瞬間、一華の喉から快感の声が迸った。
腹部が圧迫されないので、久々に開放的な声だ。
さらに何度か膣奥を突き回すと、さらに気持ちの良さそうな反応が返ってくる。
「ああああ゛奥にっ……!! いくっ、ふわあああ゛っいくいくイグイグイグぅっっ!!!!」
絶頂の宣言も再開した。俺の気分は高揚していく。
後背位は見た目にも壮観だ。
白い背中に、枝分かれした長い黒髪がせせらぎのように流れるさま。
極上の女を抱いていると再認識できる、ごまかしの利かないボディライン。
突くごとに反応する肩甲骨や背中のスジもいい。
よくよく背中を観察すれば、あまりの快感に鳥肌が立っている事も解った。

「あっ、あっ、あっ、あっ、あ゛っ!!」
快感の喘ぎが規則正しく繰り返される。
その末に射精しそうになるが、その時には責め方を変えればいい。
奥まで突っ込んだ状態で、腰をゆっくり横に振る。あるいは、ポルチオを擦るようにのの字を描く。
こうすればこちらは射精に至らないが、相手の女は十分に感じるようだ。
両手で腰を掴んでぐりぐりとのの字を描けば、やがて一華の脚が爪先立ちになる。
『ぴぃんと脚が伸びた』状態だ。つまり。
「んくっ、ん゛っ!! うん゛ーーーーーーーーーーーっっ!!!!!」
喉が裂けたのではと思えるような悲痛な呻き。
天を仰ぐようにしてそれを響かせた後、一華の上体はベッドに崩れ落ちた。
左手の甲を枕にし、横顔が覗く。
風邪のもっとも酷いときのような、虚ろに濡れた瞳、閉じない口、鼻水で汚れた情けない顔。
そしてその顔は、女が極限まで追い詰められている事を示すものだ。

俺は上体を倒し、突っ伏した一華の上に覆い被さる。
そしてぎゅうと抱きしめながら、一番の深くで繋がった。
「ふうっ…………!!」
一華から息が抜ける。俺はそれを聞きながら、さらに肌を寄せ合わせた。
そう、この段階になればとにかく肌を寄せることだ。
今にも逝きそうな状態で体を抱きしめられ、耳元に相手の吐息が聞こえる状態。
女はこの状態に、本能的な多幸感を得るものらしい。
普段であれば忌み嫌うような相手でも、意識の朦朧とした極限状態でこれをされれば、恋人だと錯覚してしまう。
「可愛いぞ、一華。綺麗な髪だ……身体のラインも最高だな。
 その表情もそそるぞ。お前は本当に可愛い女だ、一華。本当に可愛い。美人だ」
俺は何度も一華の名を呼びながら、思いつく限りの褒め言葉を囁き続けた。
勿論、ポルチオを緩く責め立てながら。
「いやっ、あっ…………ああ、あっ、うあ…………っ!!」
一華の反応が、案の定甘いものになってくる。吐息の端々にピンク色が混じっているかの如く。
俺はここで責めを激化させた。
腰を掴み、パンパンと音が鳴るほどに勢いよく突く。
「あああ゛っ、ふわあぁああああ゛あ゛ーーーーーっ!!!!!」
震えながら喜悦の声を漏らす一華。
頃合いや良し。
俺は最後の仕上げにかかった。
子宮の辺りを指で押し込み、圧迫しながらポルチオを責め立てる。
ゆるく、激しく、撫でるように、こねくり回して。

「ほら、一華、一華……ここに欲しいんだろ。お前は、ここに欲しいんだ。欲しがってるんだ。
 俺も、ここに出したい。一華のここに出したいんだ。さぁ一華、言え。ここに出して欲しいってよ!」
膣内が激しく蠢く中、俺は洗脳の言葉を囁きかける。
「うううっ、うう゛-っ!! うああ、あっ…………あっ、あ゛っ…………!!」
一華は何度も首を振りながら、相当に頑張っているようだった。
だが、いつまでもはもたない。もたないように、心身に布石を打ってきた。
20時間あまりにも渡って。
「どうした、言ってみろ。俺の奴隷になると誓え!!」
一華の絶頂のタイミングを見計らい、俺は最後のスパートをかけた。
ぽっかりと開いた子宮口の膨らみを、徹底的に抉り回す。この女が絶え間なく逝くように。
一華のスレンダーな肉体は、すぐに激しい痙攣を起こし始めた。
やがては黒髪も揺れはじめ、頭もぐらついているのがわかる。
典型的な、脳が快楽で焼かれている動きだ。

「ひぃっ、ひいぃいいっ!! お、お…………んおおおおおおおおおっ!!
 …………ああ、ああああ、や…………うううう゛っ!!!
 わっ、わかりました…………はぁ、はぁっ…………ど、奴隷に、なるっ、なりますっ!!!」

とうとう一華は、高らかに宣言した。
恐怖に振り返ったその表情は、プライドよりも自我の崩壊を恐れたことを雄弁に物語る。
当然といえば当然だ。この局面で自我の崩壊を選ぶような女は、十万人に一人だって居はしない。
俺は記録係の女を振り返り、敗北宣言についての確認を取る。
女は興味薄そうに頷いた。
『“双方の合意さえあれば”、その身柄を調教師が引き取ってもよい』。
その最後の条件が達成されたわけだ。
ついに。
ついに、やった。
正道一華という珠玉の宝石が、俺のようなクズの手に落ちた。
明日からこの女は、どこぞの富豪のじゃあない、俺専用の執事だ。
「…………うっ、く…………すみません、すみません、お母……様…………!
 ……っく、く…………くううう、うう゛ぅっ……………………!!」
一華から悔しげな嗚咽が漏れてくる。
だが俺にはその嗚咽が、目的完遂のファンファーレにしか聴こえない。






調教師としてある程度成功した俺には、一軒の屋敷が与えられた。
従者はメイドが3人、そして執事が1人。
すべて俺が愛を目覚めさせた、従順な僕だ。
特に執事は、他のメイドから嫉妬の声が上がるほどに目をかけている。

「お呼びでしょうか」
黒スーツに身を包んだ一華は、真面目至極にそう告げた。
どこから見ても隙のない、パリッとした女。この一華がいるだけで、屋敷の品格が上がるようだ。
俺はそんな一華に歩み寄り、唇を触れさせる。
舌を絡ませあうディープキスだ。
一華は、それに対して抵抗をしない。それどころか、刻一刻と息を荒げ、目を潤ませていく。
「したいのか?」
俺が問うと、一華は逡巡の後に肯定した。

仕立てのいいスーツを脱ぎさり、いよいよ女らしくなった肉体を晒す。
俺はダブルベッドに寝転がってそれを堪能した。
「失礼致します」
一華は一言かけ、騎乗位で俺に覆い被さる。
手馴れた、しかし気品あふれる動き。まったく、他のメイドにも見習わせたいもんだ。
実際、他の3人もカーテンの影などから物欲しげに覗いているようではあるが。
「自分で動いてみろ」
俺は一華に命じる。
「承知しました」
一華は短く応えると、ゆっくりと腰を上下しはじめる。
すでに膣内はどろどろに蕩けていた。今日一日、よほどこの瞬間を待ち侘びて仕事をこなしてきたらしい。
金持ちジジイの接待の間は、微塵もそんな気配を見せなかったものだが。
「お手を、拝借いたします」
一華は恥じるように告げ、俺と手を繋いでくる。
俺はその意を汲み、両手を繋いだまま上に押し上げて一華の上下運動を補助してやった。
こうすればポルチオ刺激がスムーズになるからだ。
「あっ、あ、あっ!! ああっ、はあああっ…………!!」
一華は歌うように喘ぎながら、天を仰いで目を閉じる。
早くもポルチオ性感に浸っているのだろう。
俺の逸物にも、コリコリとした鼻の頭のような感触が響いてくる。
日々開発してはいるが、さすがにまだ解れてはいないらしい。もっとも、それは時間の問題だが。

「ふぁ、あっあ…………!!」
そのうち一華の体から力が抜け、後ろへ倒れこむような形になる。
俺はその一華を激しく突き上げてやった。
「ああっ、あ、あうっ…………お、おおおお゛っ!!!!」
一華は目を惑わせて激しく反応した。
海のような、圧倒的な快感に溺れている最中なんだろう。
「幸せか?」
俺は一華に問うた。
「はっ、はい……! わ、私の中を、暖かな気持ちが突き抜けていきます。
 女に生まれた幸せを、噛みしめております。女として、こうして愛して頂けるなんてっ……!
 うんっ、あ、ああっ凄い……くぅぅんん゛っ! うっ、嬉しゅうございますっ!!
 こんなに深くて…………熱くて、逞し…………んっ、あはあああぁああああ゛あぉおお゛っっ!!!!」
一華は身体中で多幸感を表したまま、後ろ向けに崩れ落ちる。
俺はその一華を追い、屈曲位で覆い被さった。
バックスタイルと並び、もっともポルチオ責めに適した体位だ。

今夜はまたこれから、正体をなくすまで徹底的に責め抜いてやる。
愛液をあふれさせ、身体中を痙攣させてイキ狂わせてやる。
一華が俺のものとなった、あの記念すべき日のように……いや、それよりももっと激しく。
性欲の高みを追求していこう。
深い快楽に愛が加われば、女は、どこまでも壊れていける。
一華が、俺にそう教えてくれたのだから。




                                    終



2014/07/05
21:41:04
※腹責めモノ。苦痛系&嘔吐注意。


『不沈の無神経女』。
それが、女子ボクサー・細貝理緒奈のニックネームだ。
相手選手や観客に対し、配慮のない発言を繰り返す様……だけが由来ではない。
理緒奈が、『痛みを感じない人間』でもあるからだ。
彼女はボクサーとしてデビューして以来、ボディで倒れた経験がない。
そればかりか、苦悶の表情を浮かべた事さえない。
どれほどボディを打たれ続けようと、締まりのない笑みを浮かべたまま相手を蹂躙する。
いかにフライ級のパンチといえど、その様は異常極まるもので、過去には幾度も薬物使用の疑いがかけられた。
しかし、検査で異常は出ていない。
ゆえに理緒奈は“無痛覚症”なのか、と噂されている。

種明かししてしまえば、理緒奈は無痛覚症ではない。
世間が暗黙の内に疑っている通り、試合のたびにドーピングを施している。
仕掛け人は、理緒奈のセコンドである谷内。
スポーツ医学の権威でもある彼の開発した薬が、理緒奈に異常な耐久力を与えていた。
谷内の薬は、摂取した者の交感神経を刺激する。
結果としてアドレナリンの過剰分泌が起き、選手の痛覚を劇的に鈍らせる。
試合中のボクサーが一般的に分泌するアドレナリンの6倍もの量だ。
そうなれば、たとえ車に撥ねられようとも痛みを感じない。
品性と引き換えに、一切のダメージを無視できる体となる。

何人ものボクサーが、このペテンの餌食となってきた。
数知れぬ努力の結晶を踏みにじり、理緒奈は今宵、とうとうフライ級のベルトを獲りにかかる。
日本中の大多数が、王者による返り討ちを期待している事だろう。
『ストイック・ヴィーナス』弓木麗佳……。
アイドル級のルックスを有しながらも、比類なきストイックさで自らを鍛え続けてきた古強者。
その試合内容に博打性はない。どのような相手にも、ボディ打ちを基本とした堅実なボクシングをする。
それはまさしくボクサーとしてのあるべき姿であり、ボクシング界の最後の良心ともいえた。

「調子に乗んなよ、このマグロ女!」
「お前なんかが麗佳さんに敵うもんかよ! 選手としての厚みが違わぁ、厚みが!!」
「麗佳ー、そのガキにボクシングの怖さ教えてやれー!!」

途切れることのない怒号が、四方からリングに浴びせられる。
理緒奈はコーナーに背を預けたまま、トップロープ越しにグローブを突き出す。
親指を下にした、『地獄へ堕ちろ』の形で。
ブーイングがいよいよ苛烈さを増し、ドームに響き渡った。
実にふてぶてしい態度だ。半目の柄の悪い目つき、締まりの無い口元。
鎖骨までのダークブラウンの髪は、その性格を示すように緩くカーブを描き、先端のみ淡い朱に染まっている。
体型は至って普通。ただし、“ボクサーとしての普通”ではない。“一般人としての普通”だ。
腹筋はたるみこそ無いが、割れている様子も無い。
その辺りを歩いている女子校生のセーラー服を捲り上げたような、平々凡々な腹部だ。
とても、タイトルマッチに挑めるような肉体には見えない。

その点で言えば、麗佳などはまるで違う。
腹筋はしっかりと六つに割れ、側筋が実に美しい。
手足もアスリート特有のエッジの利いたもので、けれども女性らしさが損なわれていない。
顔立ちは完全にハーフのそれで、化粧栄えのするものだ。
癖のない黒髪は邪魔にならないよう後ろで括られており、実にスポーティーな印象を与える。
どこを取っても優等生という風で、全く嫌味が無い。
常に喧嘩を売り続けるような理緒奈とは、なるほど好対照といえた。

「タイトルマッチだからと言って、気負う必要はないよ。いつも通りにやりなさい」
谷内は理緒奈の額の汗をタオルで拭いながら、淡々と告げる。
理緒奈は、その忠告を聞いているのかいないのか、小馬鹿にするような表情で対面の麗佳を眺めている。
セコンドアウトが命じられ、リング中央に歩み出る間にも、その表情は変わらない。
「ここで負けて、身の程を知りな。小細工で取れるほど、ベルトってのは軽くないんだよ」
麗佳は静かに告げた。
記者からのインタビューには模範的な回答しかしてこなかった彼女だが、内心では思うところがあったらしい。
しかしその決意をぶつけられても、理緒奈の笑みは消えない。
「残念だけど、無理矢理もぎ取っちゃうから。勝てるわけないじゃん、今のあたしに」
妙にギラついた瞳は、完全に薬物中毒者のそれだった。



かくして、ボクシングの威信を賭けた一戦は始まった。
理緒奈は開始直後にビーカブースタイルを取る。
グローブを噛むような鉄壁の頭部ガード。頭は打てないぞ、さぁ腹を打て。そう誘っているかのようだ。
麗佳はボディ打ちの名手と名高く、本人にその自負もあろう。当然、狙いに行く。
「シッ!」
電光石火。相手の正面に踏み入った次の瞬間、右膝を深く沈めて斜め40度の角度でフックを抉り込む。
ドッ、という鈍い音が、観客席後方にも届いた。
リング上で幾度となく叩き込まれてきた、肝臓直撃の殺人ブロー。
それをもろに喰らった相手の反応は皆同じだ。顔を歪め、体をくの字に折って膝をつく。
しかし……理緒奈は違う。
「ふふっ」
両グローブの端から笑みを覗かせ、挑発するように麗佳の瞳を覗きこんでいる。
「くっ……!」
麗佳が表情を強張らせた。噂には聞いていても、実際にパンチが効かないとなると別物らしい。
特に彼女は、直に殴った事で気付いたはずだ。
理緒奈の腹筋が、事実として柔な事に。
脂肪に隠されたしなやかな筋肉……ではなく、素人の腹筋も同然ながら、ボディブローが効かない。
その異常性にはオカルトめいた怖さがあるだろう。
とはいえ、麗佳も歴戦の猛者だ。特殊な相手と戦うのは初めてではない。
一発で倒れないのなら、二発。二発で倒れないのなら、三発。三発で無理なら……百発でも。
相手が限界を迎えるまで殴り続ける覚悟が出来ている。

「フッ、シィッ!……シッ、フゥッッ!!」
麗佳はボディを打ち続けた。
鋭い息を吐きながら、あらゆる角度から、緩急を織り交ぜて。
後のビデオ映像によれば、丸2ラウンドの間、ほぼ2秒に一発という頻度で攻撃がなされていたそうだ。
当然、理緒奈の腹部には変化が表れた。
刻一刻と赤い痣が広がり、繋がりあい、特に良く打たれた部位は赤黒く染まっていった。
そのダメージは放送打ち切りが検討されるほどの凄惨さで、過度の損傷を理由にTKOが宣告されてもおかしくなかった。
そうならなかったのは、憎き理緒奈がさらに苦しむように、という目論見もあったのだろう。
しかしそれ以上に、理緒奈自身が僅かにも闘気を萎えさせていない事が大きい。
「フーッ……フーーッ…………」
理緒奈は、いよいよ病的にギラついた瞳で麗佳を観察していた。
獲物が弱ったところへ襲い掛からんとする獣のように。
「はっ……はぁっ、はぁっ、はぁっ………………!!」
いつしか息の荒さは、攻める麗佳の方が酷くなっていた。
2ラウンドの間打ち続けだった疲労もあるのだろうが、それ以上に精神的な消耗が激しいのだろう。
深呼吸の合間に見られる、左目尻の痙攣……それが麗佳の動揺を如実に表していた。

転機は、3ラウンド中盤に訪れた。
それまで何十と打ち込まれてきた麗佳のフックが、理緒奈の左グローブに弾き落とされたのだ。
疲労の蓄積で甘く入ってしまったのだろう。麗佳は容易に体勢を崩し、体を開いてしまう。
「っ!」
麗佳が顔色を変えた。
男をそそる絶望の表情。
勘の鋭い女性だ、その表情は、自らの置かれている危機的状況を正確に把握した結果だろう。
ドッ、と鈍い音が響き渡った。
疲労を全く感じさせない、憎らしいほどに綺麗なフォームのフック。
それが深々と麗佳の腹部に沈み込んでいた。
「っがァ…………!!」
麗佳の反応は生のものだ。
目を見開き、口を半開きにして苦悶を表す。
体はくの字に折れ、腕で腹部を庇いながら力なく後退する。
『お、おいおい……効かされたのか!?』
『いや、ありえねぇだろ。麗佳の鋼のストマックだぜ……』
観客席からざわめきが漏れた。
麗佳の耐久力は、同階級の中でもけっして低い方ではない。
しかし疲労が溜まった状態でのボディ打ち、それもほぼカウンターで喰らっては、平静ではいられないらしかった。
理緒奈は渾身の一打を打ち終えた後、静かに構え直す。
ビーカブーではなく、ほぼノーガードに近い構え。もはや守りを固める必要なしという意思表示だろう。
そもそも、力なく後退する相手に追撃しない時点で、舐めた態度と言わざるを得ない。

「へーぇ……フツーはボディ喰らったとき、そういう反応するんだ、チャンピオンでも。
 明日からはアタシがチャンピオンだから、参考までに覚えとくよ。
 って言っても、アタシにはそんなみっともないマネ、とても無理だけど」
理緒奈は挑発の言葉を投げかける。
誇り高き王者として期待を受ける麗佳は、その挑発を受け流せない。
「煩い!」
短く叫ぶと、足を使って一気に理緒奈との距離を詰めた。
無論、ただ近づくだけではない。ようやく覗いた相手の顎に向けて、踏み込みつつの右ストレートを放つ。
しかし、その動きは万全ではなかった。疲労と腹部のダメージが、1割ばかり彼女のスピードを奪っていた。
ほんの1割、されど致命的な1割。
理緒奈は上体を傾けて悠々とストレートをかわしつつ、斜め下から突き上げるように右拳を振り上げる。
ドッ、と先ほどより重い音がマイクに拾われた。被弾箇所は臍の真上だ。
「うう゛---っ!!」
絶望的な呻き声が上がる。アイドル顔負けとされる桜色の唇から、漏れだした声。
『うわぁあーーっ、麗佳ぁっ!!』
どこからか悲痛なファンの声が響き渡る。
その直後、二度目の悲劇が襲った。動きを止めた麗佳に対し、理緒奈が返す刀の左拳を抉り込んだのだ。
防御を捨てた代わりに、相手を痛めつける技術だけは面白半分に鍛え上げたのだろう。
二発目の理緒奈の左拳は、一発目と寸分違わぬ場所……麗佳の優美な臍の真上を抉り上げた。
不意を突かれて力を込め損ねたのか、それとも疲労で力が入らないのか。
6つに割れた健康的な腹部には、理緒奈のグローブが半ばほども沈み込んでしまっている。
『そんな…………!!』
観客の声が先に響き渡った事を考えると、実被害までには一瞬の猶予があったのだろう。
「おご、っが…………ァ………………!!!!」
麗佳はとうとう、顔一面に苦悶の余波を広げた。
目はこれ以上なく大きく開き。
口は女の拳がそのまま入ろうかというほどに開かれ、舌と下部の歯並びを綺麗に覗かせ。
たとえば四肢の一本を失うときでも、人間はもう少しまともな表情をしているのでは。
そう思わせるほどの壮絶な顔つきだった。

ダ、ダン、と耳障りな音がドームに響く。
それは麗佳の右膝、そして左膝が、わずかな時間差でマットに叩きつけられた音だ。
「ダ………………ダウン!!」
レフェリーが、苦虫を噛み潰したような表情で宣言する。
彼も、本心では麗佳の側だろう。ボクシングに真摯な麗佳が、不真面目な理緒奈に制裁を加える事を望んでいるのだろう。
しかし現実には……自らの言葉で、英雄の不利を告げているのだ。なんという皮肉だろう。
『ひぃいいっ、立ってくれぇ麗佳!!』
『う、ウソだろ! あんなに鍛えまくってるの、テレビでやってたじゃねぇか。効かねぇよなあ、なぁ麗佳っ!!』
狂乱が場に渦巻いていた。
その状況を、ニュートラルコーナーの理緒奈は満面の笑みで眺め回す。
「ひひひ、啼いてる啼いてる…………」
デビュー戦で期待のホープを血塗れにして以来、理緒奈には常にブーイングが付き纏ってきた。
そして、それを完勝で黙らせる事を、全ての試合でやり遂げてきた。
今回もそれは同じ。そして今日それが為された時、自分は全国一の強者という称号を得るのだ。
笑いが止まらないというものではないか。
「うう、ぅふぅううぅぐっ…………うふぅっ………………」
麗佳はカウント5が過ぎても、左手で腹部を押さえ、右手でマットを掴みながら這い蹲ったままでいた。
青コーナー最前列からなら、腕の間の表情が覗ける。
右目は閉じ、左目はやや上を向いており、口からは3本の濃密な涎の線がマットと繋がっていた。
目頭から鼻の横を通って流れ落ちる涙の線が、妙に女性らしさを感じさせた。
もう無理なのでは……表情を見た人間の何人かは、早くもそう感じたらしい。

しかし、麗佳はカウント8でマットを押しのけて跳ね起きる。
ボクサーとしての性か。たとえ内股気味であろうとも、確かなファイティングポーズを取る。
『おおおっ、あっさり立ったぞ!?』
『わざとカウント8まで休んでたって訳か。流石だぜ!!』
客席から歓喜の声が上がる。レフェリーもまた安堵の表情を浮かべた。
「ボックス!!」
その掛け声で、闘いが再開される。
肉体的損傷は、比べるまでもなく理緒奈の方が大きい。
しかし現実に表情を歪めているのは麗佳の方だ。
その不釣合いさが、理緒奈というボクサーの異常性を改めて観客に認識させる。
恐怖からか、その余裕すらなくなったのか、いつしか理緒奈へのブーイングは聴こえなくなっていた。
代わりに、希うような悲痛な麗佳への声援ばかりが搾り出されている。
「はぁっ!!」
麗佳はそれに応えようとする。応えることを義務付けられている。
しかし、その動きはいよいよ精彩を欠くものとなっていた。

理緒奈は余裕ある動きで麗佳の攻撃をかわしつつ、積極的に攻勢に出る。
最初の2発で麗佳の動きを止めた後は、小気味良いリズムで左右のフックを繰り出していく。
「ウっ、くぶっ、ン、う゛っ…………!!」
麗佳は左右の脇腹に叩き込まれるフックを受けてよろめき続けた。
そしてコーナーに追い込まれる寸前、尻餅をつきそうになるのをロープに手を掛けて防ぐ。
しかし、素直にダウンしていた方がまだ良かったのかもしれない。
眼前に迫る理緒奈に対し、麗佳はその痛んだ腹部を晒す格好になったのだから。
ギヂッ、とロープが痛々しく軋んだ。
中心から大きくしなったロープ。しならせているのは、腹部に痛烈なストレートを叩き込まれた麗佳だ。
打ち込みは今度も絶望的に深い。
「むぐぅっ………………!!」
右頬の奥を噛みしめ、凛とした表情で前方を睨み据える麗佳。
しかし一見力強いその視線は、どこか焦点がおかしい事に気付くだろう。
強靭なロープが元に戻り、麗佳の肉体を理緒奈の拳に押し付ける方向へと作用する。
そこに生まれるエネルギーを前に、麗佳の体内は耐え切れなかった。
「ぶふゅっ」
その小さな破裂音が麗佳の唇から漏れた。
続いて、しかと引き結ばれていた右唇から、一筋の液体が零れ落ちる。
白いそれは、初めは唾液かと思われた。しかしその一瞬後、誤魔化しようもないほど濃い黄線が上書きされる。
『きゃーっ、吐いてるっ!!』
『うっわマジかよ!?』
『オォイ、マスコミは映すのやめてやれよ、あんなトコよ!!』
場が一気にざわついた。
『ストイック・ヴィーナス』弓木麗佳の嘔吐。そんなものは、今まで有り得なかった。
スクープ性こそあるだろうが、けして公の場に晒されてはならないものだった。
なにしろ、アイドル顔負けのルックスを持つ日本チャンプだ。その広告塔の放送事故など、あってはならない。
数台のカメラが慌てて中継を切る中、麗佳はさらに幾筋かの吐瀉物を吐き出していく。

理緒奈は、それを冷静に観察していた。
そしてちらりとセコンドの合図に目をやった後、追撃として拳を放つ。
しかし、力はない。拳は、軽く麗佳の顎を叩く。失神さえしない程度の軽さで。
『え…………?』
麗佳と観客が、一様にその行動に疑問符をつける。
ヒントは理緒奈の表情にあった。麗佳を見下すような、嘲るような表情に。
そう、彼女は舐めているのだ。本来ならここで仕留められた、けれども慈悲で活かしておいてやる……そう言っている。
その真意に気付いた瞬間、誇り高い王者は激昂した。
「っあ゛あぁ゛ぁ゛っっ!!!」
荒々しい咆哮と共に理緒奈に殴りかからんとする。
しかしその動きは、あろう事かレフェリーによって遮られた。
「くッ!?」
なおも暴れる麗佳に、レフェリーは同じ言葉を繰り返す。
「…………まれ、止まれ! 弓木、ゴングだ、止まれ!!!」
その言葉を認識した瞬間、麗佳は唖然とした表情で動きを止めた。
試合中にゴングを聞き逃すなど、初めてのことだ。
理緒奈の嘲笑が響き渡った。
「あっはっはっ! 基本ルールぐらい守ってよね、チャンピオン。
 あとゲロ臭いから、ちゃんと口ゆすいで次始めてよ?」
タブーに躊躇なく踏み込みながら、『不沈の無神経女』理緒奈はコーナーに戻っていく。
場は完全に彼女に掌握されていた。
観客席から失意の溜め息が漏れたのは、けして気のせいではないだろう。


この試合における麗佳の戦いぶりを、蔑むファンはいないだろう。
チアノーゼの症状をありありと顔に浮かべながら、麗佳は果敢に前へと出続けた。
ポイント勝ちに逃げず、あくまで理緒奈の強みである腹筋を攻略して勝とうとする。
それはボクサーとしての、いや人間としての尊厳に満ちた姿だった。
しかしその勇敢さが、麗佳を刻一刻と崩壊へ導く。

6ラウンド中盤、状勢は決定付けられた。
それまで懸命に打ち合いに応じていた麗佳の拳が、むなしく空を切る。
入れ替わりに理緒奈の強烈な一撃が入った。
縦拳の形で接触し、内へと捻り込むように打つ、コークスクリューブロー。それが麗佳の下腹部に突き刺さる。
麗佳の身体がよろめいた。
ロープへ肩を預けるように倒れ、目を半開きにしたまま、グローブで腹部を押さえている。
明らかに様子がおかしい。
「弓木、大丈夫か? ……弓木?」
レフェリーが麗佳の顔を覗き込み、はっとした表情を見せる。
「ふう゛っ…………!」
麗佳は涙を零していた。
優美な顔をこれ以上ないほど歪め、止め処なく涙を零していた。
黒い瞳に宿るのは絶望。自らの身体ゆえに、現在の損傷の度合いもよく解るのだろう。
それでも、諦めない。
ほとんど立っているのがやっとの状態。両の脚を痙攣させながらもなお、麗佳はファイティングポーズを取る。
「やれるのか、弓木!?」
レフェリーは縋るような声で告げた。
本来であればストップも已む無しという状況にありながら、麗佳の勝利を諦めきれない様子だ。
「う……うぅ…………ぁぁ…………あ!!」
麗佳はその期待に応え、猛然と前へ突き進む。
しかしその道の先には、獰猛な肉食獣が大口を開けて待ち構えていた。

麗佳のファン達は、幾度同じ光景を目にしただろう。
麗佳の研ぎ澄まされた打撃が防がれ、逆に理緒奈の拳が優美な腹筋に叩き込まれる光景を。
スタンスを広く取り、十分に力を乗せてのボディ。
それは、麗佳の片足を僅かにマットから浮かせるほどの威力があった。
「う゛っ、ぐぅう゛うっっ!!!」
もはや麗佳に声を抑える余裕などない。
凄絶に顔を顰めながら倒れる麗佳は、その勢いで仰向けに寝転がる。
「はっ、はひっ……ひっ…………!!」
形のいい胸を病的なほど上下させる、痛々しい寝姿だ。
「ダウン!」
レフェリーが苦々しく宣言し、理緒奈へコーナーに戻るよう指示を出した。
しかし。
「ったく、しつっこいなぁ」
理緒奈は苛立ちも露わに告げ、麗佳の傍らに歩み寄る。
「何をしてる。早くコーナーに…………」
レフェリーがなおも告げた、直後。
「さっさと…………落ちろ!!」
理緒奈のグローブが振り上げられた。狙いは、無数の赤い陥没が残る王者の腹筋。
「ッ!? よせっ!!」
レフェリーの空しい叫びと同時に、拳は風を切る。
鈍い音が響き渡る。
そのとき、場の皆が目撃した。六つに割れた麗佳の腹筋へ、グローブが根元まで埋没する様を。

「…………ごっ……ッォぉおおお゛っ…………ッあ………………!!」
えづき声と共に、麗佳のすらりとした右脚が宙へ投げ出される。
焦点を定めず見開かれた瞳、舌を突き出した大口……深刻なダメージが表情から見て取れた。
「ッハァ!」
嬉々として2打目を狙う理緒奈。
それを、レフェリーが突き飛ばすようにして止める。
「もうやめろ! ダウン後の攻撃は反則だ!!」
ロープ際で指を突きつけて注意を与えるが、理緒奈の顔に反省の色は見られない。
レフェリーは思わず減点を宣告しようとする。

そのやり取りの最中、レフェリーの背後では、王者の最後の意地が燃えていた。
腹部を抱えて苦悶しながらも、麗佳は徐々に身体を起こす。
「負け………………る……か………………ッ!!!」
完全に2本足での直立を成した瞬間、麗佳は猛然と駆けた。
レフェリーを押しのけるようにして、全力で拳を突き上げる。
執念の拳は、見事に理緒奈のボディに突き刺さった。
「んっ」
理緒奈が小さく呻く。
さらに一撃、さらに一撃。理緒奈の身体は左右に揺れ、観客席から歓声が沸き起こる。
効いていない筈がない。死力を振り絞った麗佳の連打は、そう思わせるほどインパクトのあるものだ。
けれども理緒奈は、その連打の中で反撃を試みた。
鋭いフック。麗佳は素早く後ろへ下がってそれをかわし、しかしそこで呼吸の限界を迎えてしまう。
「ハッ……はっ、はっ…………ハァッ、はぁあっ…………!!」
顔中に汗を浮かべ、苦しげな呼吸を繰り返す麗佳。
理緒奈は口元に笑みを浮かべ、悠然と歩を進めて彼女に止めを刺そうとする。
しかし、ここで初めて理緒奈に異変が起きた。
歩みだした足がもつれ、そのまま膝から崩れ落ちたのだ。
「ダ……ダウン!」
レフェリーが信じがたいという様子で叫ぶ。客席からの歓声はいよいよ会場を揺るがす程のものとなる。
それもそのはず。これが理緒奈のキャリアにおいて、初のダウンなのだから。
やはり麗佳はこれまでの相手とは違う。ならばこのまま、逆転もありえるのでは。
理緒奈がキャンバスに膝をつく光景は、観客にそうした希望を持たせるに十分なものだった。
けれども……現実は残酷だ。
大多数の人間がどれほど切実に願おうと、結果を決めるのは事実の積み重なりでしかない。
勝利を期待される麗佳に、もはや追撃の余力はなく。
敗北を期待される理緒奈は、生涯初のダウンを奪われた屈辱で、その相貌を獣のように歪める。
「…………よくも………………この……このォアマアァァアッッッ!!!」
理緒奈が吼え、ヒステリックな音を立てながら麗佳に迫った。
「くうっ…………!!」
麗佳はとうに力の全てを出し切っており、構えを保つだけで精一杯だ。
力ないガードは怒り狂う理緒奈の拳によって突き崩され、悪意の塊が臓腑を抉る。
割れんばかりだった歓声がぷつりと途絶えた。
「ごあ゛っ!!!」
痛々しい悲鳴が響き渡る。
麗佳の腹筋は、すでに内臓を守る鎧としての用を為さない。
ただ薄いだけの柔肉となって、暴虐の拳がもたらす衝撃をそのまま内へ伝えてしまう。
「お゛っ、おう、う゛んっ!!」
腹部への連打を受けて後退を続ける麗佳の体は、ついにコーナーへと追い込まれた。
いけない―――!
誰もがそう思っただろう。そしてその直感の通り、そこから王者への残虐な処刑が始まる。

「ぐごぉおお゛あえ゛っ!!!」
拳が深々と腹部へ埋没し、麗佳は喉を潰したような叫びを上げる。
あまりの苦痛に身を捩って逃れようとするが、コーナーに追い込まれては碌に身動きが取れない。
理緒奈の片手で首をコーナーに押し付けられ、もう片手で連打を浴びる。そればかりだ。
「がぁおおお゛ぼっ!!!」
王者の肉体が痙攣し、マウスピースが口から零れ出た。
唾液を纏いつかせたマウスピースは、キャンバスを空しく転がりまわる。まるで、応援する者の感情のように。
本来であれば、即座に試合を止めるべき一方的な展開だ。
しかし、それは麗佳の負けを決定付ける事を意味する。
誰もが麗佳の負けなど望んでいなかった。それがあってはならないと思い続けてきた。
ゆえに、レフェリーも判断に迷う様子で状況を見守っている。
誇り高い王者の公開処刑を。

理緒奈の拳は雨あられと降り注ぎ、元より傷ついている麗佳の腹筋を徹底的に叩き潰した。
ボゴリボゴリと腹が蠢く様からして、表皮だけという事はありえない。
恐らくは内臓までが、跳ね回る水袋のように蹂躙されている事だろう。
「ごお゛っ、おぼぇ゛ええ゛っ!!! があ゛っ、ごッ、おぶぇっ……!! お゛っ、ぉおおお゛お゛お゛っ!!!」
泣き崩れるような麗佳の表情からは、感情を読み取ることができない。
王者としての屈辱か、それとも単純に、死に瀕する者としての恐怖か。
間近で見守るものには、麗佳の美しい腿を、黄金色のせせらぎが伝い落ちていく様が見て取れた。
それはやがてキャンバスに滴り、より多くの肉眼とカメラに捉えられる。
左右の拳は、それでも麗佳の腹部を叩き続けた。
麗佳はただ、その美しい脚を強張らせ、シューズで空しくキャンバスを擦るばかりだ。
その無力な有様は、スラムの路地裏で強姦される娘と何も変わらない。
『同階級の男性ランカーより強いのでは』……そう噂されたフライ級絶対王者は、そこにはいない。
「らあぁっ!!!!」
理緒奈が殊更力を込めて打った一撃が、強かに麗佳の腹部を抉る。
「お゛、げぼ、がっ…………あ゛げ…ごぼぉ゛…………………っっ!!!」
その一撃で、とうとう麗佳は人の姿を失った。
見開かれた瞳の中で、天井のライトを凝視するようにぐるりと黒目が上向く。
身体中の痙攣がとうとう頚部にまで行き渡り、顎と、頬が膨らみ、一秒後。大量の吐瀉物が吐き出される。
その様を見て客席から悲鳴が上がり、レフェリーが頭上ですばやく両手を交差させた。
ゴングがけたたましく打ち鳴らされ、強制的な試合の幕引きを世に示す。
その瞬間、理緒奈は拳を止めて高く振り上げた。
暴虐からようやく開放された麗佳の肉体が、理緒奈に縋りつくようにズルズルと崩れ落ちる。
理緒奈はそれを汚らしそうに押しのけ、麗佳を文字通り“キャンバスに沈めた”。
自らの吐瀉物に塗れながら、尻だけを高く突き上げ、乱れた黒髪を放射状に拡げる醜態。
それは、レフェリーや観客達の理想が敗北した姿だ。

「はっはっはっはっは! さて、あたしがこいつに敵わないとか、ボクシングの怖さ教えてやるとか言ったお馬鹿は誰?
 必死に必死に、極限まで教科書通りの鍛え方した結果、あたしに全く歯が立たなかったねぇ!
 これで分かったでしょ、このあたしが、ボクシングの常識なんかより遥かに上だって事がさぁ。
 このミジメなザマをよーく目に焼き付けときなよ。あんたらの硬い頭が祀り上げた、スケープゴートの成れの果てをさ!!」

理緒奈は拳を振り上げながら、目に映る全てを侮辱し続けた。
絶望の溜め息、すすり泣く声…………それが場内を覆いつくしていた。
「ふふ、くくくっ…………くっくっくっくっく………………!!」
ただ1人、理緒奈のセコンドである谷内の忍び笑いを除いては。





その日の深夜。
一夜にしてヒーローとなった少女は、ショーツ一枚という姿で拘束されていた。
手足には鎖で繋がれた枷を嵌められ、凧のように身を開いている。
窓のない部屋は極めて無機質だ。
少女と男が一人、カメラが一台…………その殺風景さが、異様な雰囲気に拍車を掛ける。
「さて。心の準備はいいかな、女子フライ級新チャンピオン」
男……谷内は、何とも愉快そうな口調で切り出す。
一方の理緒奈は、そんな彼を敵意むき出しの視線で睨み据えていた。
「やるならさっさとしなよ、ゲス野郎」
理緒奈から悪意ある発言をされても、谷内は微塵も動じない。
「そうだな。私もいい加減、お預けの限界だ」
涎も垂らしそうな言い方でそう告げると、懐からひとつの錠剤を取り出す。
理緒奈から痛みを奪った薬の、解毒剤だ。
「さ、口を開けなさい」
谷内は理緒奈に命じ、開かれた口の中に解毒剤を放り込む。
ごくり、と理緒奈の喉が鳴った。
そこから、ほんの数秒後。理緒奈の雰囲気が変わる。
「…………あれ………………あ、あたし………………?」
そこにいるのは、理緒奈と同じ肉体を持ちながら、リングでの理緒奈ではないもの。
膨大なアドレナリンに支配されていない、臆病で繊細な少女だ。
「落ち着いてきたようだね。今の気分は、どうだい?」
谷内は、ひどく優しい口調で語りかける。
しかし理緒奈の瞳に映る表情には、一かけらも情らしきものが見当たらない。
それは、薬を投与したマウスを見守る研究者の目だ。
理緒奈は優しげな垂れ目を惑わせ、素人そのものの肉体を震わせはじめた。
薬が解毒されれば、まずは攻撃的な気分が消え、その後1分ほどで麻痺していた痛みが感じられるようになる。
リングの上で感じているはずだった痛みが、全て襲い掛かってくる。

「あ、あたし……こっ、怖い。ドクター。あたし、怖くて、たまらない!
 あのチャンピオンの人、ものすごく鍛えてた。凄く強かった」
「ああ。強かったね」
「あたし、そんな人のパンチを、避けずに何発も何発も受けちゃって…………
 最後の方には、意識とは無関係に膝までついちゃった。
 あたしの身体、どれだけボロボロになってるんだろ。どんな痛みが、この後来るんだろ。
 ね、ドクター…………あたし、死なないよね? この後も、生きてられるよね!?」
「……ああ、大丈夫だ理緒奈。おまえの脳は、痛みの許容力が極めて大きい。
 だからこそ、実験のパートナーに選んだ。
 だからこそ、あの捨て置けば死んでいた状態から、二度目の生を与えたんだよ」

理緒奈と谷内の会話はそこで途絶えた。
谷内は嬉しげに笑みを深める。逆に理緒奈は、恐怖で顔を歪ませた。




「ああぁぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!!」
咆哮とも呼ぶべき、凄まじい悲鳴が密室に響き渡る。
手足を繋ぐ鎖が煩く鳴り散らす。
痣だらけの理緒奈の腹部が、ひどく蠢いていた。
痛みを感じたゆえの反射的な反応なのだろうが、傍目には不可視の何かに殴打され続けているように見える。
「あがあぁあああ゛っ、げぉっ、ふげぇええお゛ごごごおごごぇえ゛ぐっ!!!」
目を剥き、大口を開き、唾液を垂らし。
まるで鍛えていない素人同然の腹部は、プロのパンチに耐えられる代物ではない。
本来リングの上で見せているはずだった醜態が、今この場で遅い再現を見せているのだ。
「ふふふ、いいぞ。いい表情だ、理緒奈。
 これが表の世界では、フライ級王者というのだから傑作だな。
 愚民どもは、痛みを感じないターミネーターのようにお前を見始めるだろう。
 真実を知るのは私だけだ。回ってきた“ツケ”に苦しむお前を見られるのは、この私だけなのだ」
谷内は恍惚とした表情でビデオカメラを回す。
そのフレームの中で、理緒奈は地獄の苦しみを味わい続けていた。

幾度も幾度も、ボクサーとして試合をする度に繰り返されてきた事ではある。
しかし、麗佳は強かった。パンチ力もさる事ながら、打たれても打たれても諦めず戦い続けた。
最後には、身に残った全ての力を振り絞って理緒奈からダウンをももぎ取ったのだ。
そのダメージの総量は、今までの相手の比ではない。
何人もの犠牲の果てに築き上げられた『ベルトの重さ』が、それを愚弄した理緒奈を押し潰す。

「げぼっ、おおぉええ゛っぼっ!! あああっ、もうイヤ゛ぁーーっ!!
 ギブアッぶ、ギブアップしますうっ、ご、ごめんなざいっ、もうイヤッ、もうぐるじいの……ごぶぅ゛ぇっ。
 んん゛もぉ゛ぉえ゛っ、げぼごろっ、ウ゛……っ……!! う゛っ、んん゛ごお゛お゛ぉォお゛っっ…………!!!」

祝勝会で口にしたものを余さず吐き戻しながら、理緒奈は赦しを請い続ける。
すでに全てが過去の事。
どれだけ泣き叫ぼうが、今さら赦される事などないと知りながら……。


                            終



2014/06/16
20:43:49
※スカトロ(嘔吐、小、大)注意。


健史にとって、押木戸有紗(おしきど ありさ)は強さの象徴だった。
屈強な男が幅を利かせるアウトロー世界において、女だてらに、身一つで地位を築き上げたからだ。
身一つで、とはいえ、体を売った訳ではない。
時には腕っ節に物を言わせ、時には悪魔じみた冷酷で合理的な策略を用いて。
純粋な力で以って、周囲に自分の存在を認めさせてきたのが有紗という女だ。

「あぐっ……す、すいま、えん…………れした…」
強面のドレッドヘアが、地に這い蹲ったまま哀れな声を漏らす。
それを聞き、ようやく有紗は彼の頭からピンヒールを退けた。
ドレッドヘアはよろめきながら逃走を図る。
裏路地は血にまみれ、そこで起きた争いの苛烈さを生々しく物語っていた。
しかし、有紗に付着した血液はすべて返り血だ。
ドレッドヘアは有紗より体格がよく、木製バットまで持参して不意打ちをかけた。
それでも一方的に叩きのめせるほどに、有紗は強い。
「……す、すげぇ…………」
健史は、金の入ったバッグを抱え直しながら呟いた。
いや、ようやく『呟けた』。

「ったく、要らねぇ時間取らせやがって」
有紗は煙草を取り出して火をつけながら、不機嫌そうに舌打ちする。
煙を吐く横顔は整っていた。
切れ長のくっきりとした瞳に、ハーフめいた鼻筋、血色のいい薄い唇。
油断なく引き締まったその表情は、多くの男から『中々にイイ女』と評される。
パンツ姿の似合う腰のくびれを有しており、スタイルもけして悪くない。
敵対するグループからも、有紗の容姿を貶める噂だけは聴こえてこない。
「さっさと行くぞ。無駄に時間喰ったからな」
有紗は短く告げた。
「あ、はい!」
足早に先を行く有紗を追い、健史も小走りに駆け出す。
向かうのは次の集金場所だ。
闇金業者として貸し付けた金を、利息分だけでも回収に回る。
無論、渋る相手は多い。
特に集金に来たのが若い女とあれば、ごねて場を切り抜けようとする顧客は数知れない。
しかし…………それで逃げ切れた相手を、健史は見たことがなかった。
有紗はあらゆる手段を用いて金を回収する。
元より、仕事に関してはタガの外れている女性だ。
違法スレスレの手段で相手を追い込みもすれば、倫理にもとる手段さえ辞さない。
バックについているヤクザを利用しての恐喝などは基本の基本だ。
それが元で逮捕される事になっても、有紗は微塵も恐れないのだから、追い込まれる側は地獄だ。

有紗には、怖いものなどないのではないか。
健史は常々そう思う。
しかし、そんな事はない。どれほどの強者にも、天敵というものは存在する。
有紗にとっての天敵とは、『金主』だ。
闇金業者として欠かせない資本を提供する、広域暴力団幹部。
有紗はその『金主』から金を借りている形であり、普段彼女が顧客へ強いているように、毎月利子をつけて返済しなければならない。
「いいか。『金主』の野郎に渡す分の金だけは、必ず確保しとけよ?」
有紗は日頃から、口癖のようにそう語っていた。
万が一その用意が出来なかった際の事を、何よりも危惧しているかのように。

そしてついに、その危惧が杞憂で済まない日が来る。
舎弟の一人が、目先の欲に走って大金を使い込んだ挙句、『金主』の組にまで多大な損害を与えたのだ。
単に金の返済ができないだけでなく、『金主』の顔に泥を塗る失態。
その報が齎されたとき、健史は初めて、血の気の引いた有紗の顔を目にした。



健史は有紗に付き添って、『金主』への金の受け渡し場所に向かう。
歓楽街にある高級キャバクラ……そのワンフロアを貸切にして、『金主』は愛人に囲まれていた。
「申し訳ありませんでした!!」
『金主』を前に、有紗は額をカーペットへ擦り付けて土下座する。
普段の“強者たる”彼女であれば、逆の立場こそあれ、まずありえない行動だ。
健史は、その異様な光景を目にして初めて、事の重大さが本当の意味で理解できた。
『金主』は頭を下げる有紗を物憂げに見下ろし、大仰に溜め息を吐く。
「とりあえず顔を上げなさい」
その言葉で有紗が正座に直ってからが、陰湿な嫌がらせの始まりだ。
「お前には期待してたんだけどなぁ。もう失望しすぎて、怒る気力もないよ。
 …………お前たち、私に替わって、ちょっと仕置きしてくれないか」
そう言いながら『金主』が両脇の娘の肩を撫でると、彼女達の瞳が面白そうに細まる。
普段は猫を被っているが、心の底は捻じ曲がった女揃いだ。
健史は、有紗がそうぼやいていた事を思い出す。

「えーっと、そうだなぁ。じゃあマッ君を困らせちゃったんだからぁー、反省しなさい!」
女の一人がそう告げてソファから立ち上がり、ガラステーブルにあったグラスを手に取る。
そして正座する有紗の頭上で、そのグラスを傾けた。
紫色をしたカクテルが降り注ぎ、有紗の茶色い髪で弾けて伝い落ちる。
仕立てのいいスーツに染みが広がっていく。
「っ!!」
健史は思わず息を呑んだ。あの有紗に、何と言うことを。
しかし有紗は、真っ直ぐに前を見据えたまま微動だにしない。
顔をカクテルが伝い落ちている最中にも、瞳を閉じず、眉さえ動かさない。
その根性の座り具合は、さすがと言う他なかった。
しかし『金主』を取り巻くのは、そうした侠気を理解できる女達ではない。
「なにこいつぅ、チョー生意気なんだけどぉ」
「じゃあ別の罰ねー、服脱いで。………………オラ、脱げ、っつってんの」
金主に声が届く範囲では猫を被り、有紗の耳元では地の声を出して、女達は有紗を追い詰める。
「わかりました」
有紗はすくと立ち上がり、スーツのボタンに手をかけると、見事な脱ぎっぷりを披露しはじめた。
微塵の躊躇も見せず、微塵の気後れも見せず。
無論、羞恥心がないわけではないだろう。どれだけの露出狂でも、自分の部下が見守る前で脱げるものではない。
ただそうした感情を、相手に悟らせないだけだ。

初めて目にする有紗の裸体に、健史は心奪われた。
普段、服の上からでもスタイルの良さが見て取れた有紗の肉体は、脱げばいよいよ魅惑的なものとなる。
肌は思った以上に若く、充分な張りと艶を併せ持っている。
胸の大きさはCカップといったところで、服を着ている時よりも控えめだ。
しかしそれも、スレンダーな体型によくマッチしている。
尻や脚の形も美しく、こちらに背を向けた後姿は、成熟した女優のようなそれだった。
「ほぉ。脱いでも中々の女だ」
『金主』が感心した風で告げる。
すると、その言葉がまた取り巻きの女達の嗜虐心を煽ったらしい。
彼女達は有紗の両腕を掴み、強引にソファへと掛けさせる。
『金主』の真正面……開いた脚の合間が丸見えになるようにだ。
「さぁ、マッ君にあそこ見てもらお。足閉じちゃ駄目だよ」
女の一人が有紗へ囁きかけるのを聞き、『金主』の口元に下卑た笑みが宿る。
「じゃ、いくよ」
チン、と硬質な音がし、ステンレスのマドラーがグラスから引き抜かれた。
先端に小さな球体のついたマドラー。それが有紗の秘所へと近づいていく。
しかしその狙う先は、秘裂にしては妙に上向きすぎていた。
「っ!」
有紗はいち早くその意図を察したのか、表情を険しくする。
その直後……マドラーは、有紗の尿道へと押し当てられた。
女の指の腹が容赦なくマドラーを送り込み、狭い尿道入り口を突き破らせる。
「っっっ、ぅ“っ!!!!!」
有紗はかろうじて悲鳴を噛み殺した。
口を固く引き結び、前方に視線を向けて、背筋をまっすぐに堪えている。
しかし女の指がゆるゆると前後に揺れ始めると、引き締まった腹筋が蠢くのが見えた。

そこからは、女達がそれぞれに有紗を弄び始める。
「あはっ、おしっこ出てきたぁ」
にち、にちっと音を立てて尿道をマドラーでかき回し、粗相を指摘する女。
有紗の鼻を掴んで顔を上向けさせ、どれだけ口から零れようが、無理矢理にカクテルを飲ませ続ける女。
むき出しになった乳房やその先端を、指先で弄び続ける女……。
『金主』は延々と続くその嫌がらせを肴に、薄笑いを浮かべながらグラスを傾ける。
健史には理解できない神経だ。

一時間ばかりその状態が続いただろうか。
「ごほっ、おぐっ…………う、え゛……あ……っぁ」
無理に酒を飲まされ続け、アルコールに強い有紗もさすがに意識が朦朧としはじめていた。
飲酒による尿意が訪れては、マドラーで掻き出される繰り返し。
ソファの下には、水溜りを思わせるほどの夥しい失禁跡が広がっていた。
「まったく…………食事マナーばかりか、排泄のマナーまで悪い女だ。
 せっかくのまぁまぁいい女が台無しだな」
『金主』はナプキンで口元を拭うと、立ち上がりながら続ける。
「自分で出したものだ、自分で舐めて綺麗にしろ。店に迷惑をかけるなよ、有紗」
その言葉を聞き、有紗がよろよろと身を起こす。
泥酔しているにしては力のある眼差しをソファに向け、命ぜられるまま、赤い舌を出して自らの小水を舐め始める。
健史は今日幾度目になるか解らない衝撃を受けた。
彼にとってそれは、最底辺の人間がする行為に思えたからだ。
あの強い有紗が。
小柄な自分のコンプレックスを払拭してくれる、強さの象徴たる有紗が……。

「これはいい、お似合いだぞ有紗。お前はガキの頃からの癖で、肉料理でもスープでも犬食いするからな。
 そういう意地汚い根性だから、部下がしっかり育たないんだ。
 …………ともかく、払えなかった金と私への損害分は、おまえ自身の体で支払ってもらうぞ。
 明日から、数本のAV撮影だ。見目はいい女だってのが、せめてもの救いだったな」

『金主』は大理石の床を嘗め回す有紗を見下ろし、満足げに笑いながら出口へと消える。
健史の耳には、しばしその高笑いがこびりつくように残っていた。



『金主』の言葉通り、その翌日から有紗のAV撮影が始まった。
港にほど近い倉庫の中に簡単なセットが組まれ、複数の男優を招いて撮影が進められる。
『金主』の意向なのか、撮影は有紗に羞恥を味わわせる類のものに偏っていた。

「ほーらドロドロだぁ、気持ちいいだろ。うん?」
男優が有紗に問う。
有紗は後ろ手に縛られたまま、喉奥深くに男の2本指を咥え込まされていた。
男の問いに答えはない。答えるような余裕は有紗にはない。
「あがっ……え、えあ゛っ……あ、っらぁ、ああ゛………………!!」
階段から突き落とされて腕の骨を折ったときでも、有紗は呻き声ひとつ上げなかったという。
その有紗は今、生理的な反応からのえづき声を絞り出されていた。
鼻はフックで豚のように醜く吊り上げられ、縦に大きく開いた口からは前歯が覗いて、若干の幼さを感じさせる。
瞳だけはなおも気丈に男優を見据えているが、片目は常に苦しさから歪んでいる。
男優の喉奥嬲りは執拗の一語に尽きた。
片手は常に有紗の後頭部を押さえており、苦しさから有紗の頭が上下左右に揺れても、的確にその動きに沿って指をねじ込む。
有紗の喉奥からは、幾度も嘔吐の前兆と思えるような泡立つ音が鳴っていた。
特に、天を仰いだ際に指を深く突き込まれる際には、さすがの有紗も目をきつく瞑ってしまう。
そのまま約2秒も責められれば、堪らず顎を引いて唾液を吐き出すしかない。
「けほっ、えぉっ…………あーっ、ああはっ…………う゛っ」
激しく喘ぎながらゆっくりと頭を戻し、前方から喉を弄くられる段になってようやく相手を睨めるようになる。
しかし……男優もよく解ったもので、有紗が睨むタイミングで都度指を引き抜いた。
すると、白く泡立った唾液がしとどに指に纏わりついてくる。
それを有紗の顎に塗りつけてしまえば、どれほど気丈に睨みすえようとも、威厳も何もない。
「っあーっ、あーーっ…………っはーっ…………!!」
指を抜かれた際の有紗の息遣いは、紛れもなく女のものだ。
ショッピングに興じる女子校生のものと、何も変わらない。
普段ドスの利いた声で男勝りに振舞う彼女のものとは、到底思えないほど女らしい声だ。
健史はその声を聞いた瞬間、口惜しいような、けれども興奮するような、妙な気分になった。

「…………おうタケシ。ちょっと飲み物やら漫画やら、買ってこいや」
撮影を仕切るヤクザの一人が、健史に札束を突き出しながら命じる。
健史は撮影現場を見守っていたい心境だったが、『金主』子飼いのヤクザに逆らえるはずもない。
「わかりました……」
そう言いながら小走りに倉庫の出口へ向かう。
ちょうどその背後で、状況の移ろうとしている会話が聞こえてくる。
「にしてもこいつ、喉つえーな。こんだけやっても吐かねぇ」
「だったら、もうそろそろ咥えさせちまうか?」
「だな。撮影スケジュールとはちと違うが、たまにゃこういう流れがあってもいいだろ。
 もういい加減、興奮してビンビンだかんよォ」
男優達のそうした言葉を捉えながら、健史は走る。
せめて、少しでも早く戻るために。

……しかし、場所は港の傍。
最寄のコンビニエンスストアさえ数キロ離れた場所にしかなく、さらには指定された漫画雑誌の一つが中々売っていない。
結局健史が倉庫に戻ったのは、実に2時間以上が経過した後の事だった。
当然、状況はまったく変わっていた。
健史の目の届かない場所で、何もかもが違う状況になっていた。
「んぶっ、んぐっ…………む゛ぇっ、ごぇえ゛え゛っ…………げぇえっ、げごっぉ゛っ…………!!!」
健史ははじめ、それを人の声でなく、軽リフトか何かの駆動音かと思った。
それほどに尋常でないえづき声が、一突きごとに発せられる。
勃起しきった複数人の男に囲まれ、膝立ちの有紗がイラマチオを強いられている。
尻を突き出し、相手の膝を力なく掴む逃げの姿勢。
およそ押木戸有紗という女傑が、男の物を咥えこまされて取るポーズとは思えない。
しかし。よくよく状況を見れば、それも仕方のない事だとわかる。
膝立ちになった有紗の足元には、バケツを誤って倒した時のような、夥しい量の吐瀉物が広がっているからだ。
一体それまでに何度、あるいは何十度に渡り、嘔吐させられたのだろう。
おそらく初めの内は雄雄しい佇まいを崩さなかったであろう有紗が、女としてのなまの反応を示してしまうほどに。
「ぶはっ!! ……もっ、もう…………やめ……て、くれっ…………!!」
怒張が一旦引き抜かれた瞬間、その時を待っていたように有紗が叫ぶ。異常なほどかすれた声だ。
しかし、その哀願が聞き届けられることはない。男達の嘲笑の的にしかならない。
「おら、まだまだやるっつってんだろ。逃げてんじゃねぇぞ!!」
男の一人が怒号を浴びせながら、無理矢理に有紗に怒張を咥え込ませようとする。
「ん、んん゛んっ!!」
有紗は必死に抵抗し、膝立ちから崩れるように寝転がった。
しかし、男はその上に圧し掛かるようにしてあくまで咥え込ませる。
「ん゛ーーーーーっ!!!!」
悲鳴と共に、有紗の足がばたついた。
よく引き締まった、相当な威力の蹴りを放つ足。しかしそれは今、レイプされる少女と同じ動きを辿るだけだった。
男達は、なおも暴れる有紗の腕を押さえつけ、完全に抵抗を封じてしまう。
「や゛あ゛ぁあ゛ああ゛あ゛っ!!!」
断末魔のような叫びを最後に、有紗の姿は男達の体の影に隠れた。
健史は、それでもかすかに覗く垂れ下がった有紗の眉を、魅入られたように眺めていた。
「おっ、帰ってたのか。ご苦労さん。
 …………へへ、すげぇだろ。あんまり暴れるんで、壁に頭押し付けて咥えさせてよぉ、
 3度くらい連続で吐いて、鼻からもデロデロ出てきた辺りから、急に弱弱しくなっちまった。
 ゲロで溺れる恐怖ってのは、あれほどのじゃじゃ馬にも有効らしいぜ」
ヤクザ男はそう笑いながら、ペットボトルを袋から抜き取る。
中心を失った袋の中身は、ガラリと音を立てて崩れた。



一週間が経った今も、有紗へのビデオ撮影は続いている。
健史は男達の買出しを請け負いながら、ただその撮影の様子を見守っていた。
すでに感傷はない。鳶が小動物を攫う瞬間を見守るが如く、自然の摂理を眺めているだけだ。

昨日の撮影は、有紗が男優の手で延々と潮を噴かされるシーンだった。
健史は場所取りが悪かったために、肝心のところが見えなかった。
男優の身体越しに覗くのは、有紗の膝から下と足の裏、そして足の間に飛び散る透明な飛沫のみ。
しかし、それはそれで刺激的だった。
肝心な部分が見えないからこそ、有紗の甲高い声や足の蠢きから状況を想像する楽しみがある。
飛沫が次第に蓄積し、床へ水溜りを作っていく様も生々しかった。

今日は一転し、スカトロの撮影らしい。
またしても健史の位置は悪く、有紗を背後から見守る格好だ。
けれども、それもいい。
有紗は低めの作業代の上に腰掛け、両手を後ろについたまま、脚を大きく広げていた。
2人の男がそのそれぞれの腿に手を宛がいつつ、もう片方の手で何かしている。
「ほーら、浣腸7つ目だ。そろそろ限界だろう、うん?」
逐一そうした言葉責めがあるため、行動を察するのは容易い。
有紗の表情はまったく解らないが、後ろ髪の位置から、俯いて後門を凝視していると思われる。
「まったく、辛抱強い女だ。しゃあねぇ、そろそろこいつで掻き出してやるとするか」
男の片手が一旦隠れ、棒状の何かを携えて現れる。
有紗の後ろ髪が動いた。顔を上げ、男の持ち出したものを確認したらしい。
ローションのボトルがへこむ音がする。
そして数秒後、ぐちゅりと湿った音が続いた。じゅぐ、じゅぐ、とその音は断続的に続いていく。
「おーらおら、出てきたぞぉ。へへっ、こらあすげぇ!!」
男達は嬉々としてその状況を覗き込んでいた。
有紗に恥辱を味わわせる事が愉しくて仕方ないようだ。
「…………や………………」
ほんのかすかに、有紗の声が聴こえる。男達の笑いが大きくなった。
「いや、じゃねぇんだよ。この様子はなぁ、全部ビデオに取ってんだ。ン千人って人間が見るんだよ、これを!!」
男達はがなり立てながら、有紗の腿を幾度も叩いた。
その中で有紗は、再び俯いてしまう。

状況こそみえないが、かすかに有紗の匂いが漂い始めていた。
彼女の中にあった、穢れの匂い…………。
今の健史には、それすらも魅惑的に感じられるのだった。


                                  終


04:35:30
※風俗イラマチオ&フェラチオ物。


持つべきものは友だ。
泰典に教わらなければ、俺は一生その風俗店を知らずにいただろう。
ネットで普通に検索しても見つからない。
何しろその店のホームページは、一見地味なエステサロン風なのだから。
しかし、会員だけに通知されるパスワードでログインすれば、一転して禁忌の園に様変わりする。
店舗型の高級ヘルス倶楽部。
一番の特徴は、他の店なら即座に出禁を喰らうようなハードプレイ……たとえばイラマチオなどが行える事らしい。
それでいて嬢のレベルは決して低くない。
高級店特有の、写りを計算しつくした煌びやかな写真が並んでいる。
目元のモザイク越しにも、間違いなく美人と確信できる嬢が何人もいた。
それだけに目移りしてしまう。
大体、風俗嬢の写真は加工ありきと考えるのが常識だ。
写真で期待できる嬢ほど、実物が外れだった時の落胆は大きい。

【本日出勤】の写真をしばらく眺め回した末に、俺はある賭けに出た。
一覧の左端……一つだけ写真がない嬢がいる。
クリックして詳細を開くと、そこにはこんな説明文があった。
『文句無しの抜群ルックス! 新鮮一番、思わず咥えさせたくなっちゃいます!!』
ルックスがいい……本当かは解らない。
しかし他の嬢が顔出ししている中で、一人だけ写真がない事が妙に気になった。
風俗で働いている事を知られたくない、育ちのいい娘なのかも。
あるいはこれも罠で、とんでもなく残念なルックスの娘なのかも。
期待と不安が心の中で入り混じり、それでも俺は期待の方に賭けた。
迷った時には最初の勘を頼りに進む……それが俺の信条だ。

ホームページに記載された番号に電話を掛け、指名する。
写真のない唯一の嬢……『愛璃』を。
『えっ、愛璃ちゃん…………ですか!? どこでそれを?』
電話番の店員は、まず驚きの声を上げた。
俺がホームページで見た事を伝えると、受話器から店員の気配が遠ざかる。
『…………おいおい、なんでもう愛璃ちゃんの写真載ってるわけ?
 お客さんが見たって言ってんだけど。マズいよー、誰だよ更新したの』
別の従業員に呼びかける声が遠く聴こえる。慌てるあまり保留にし損ねたという様子だ。
その瞬間、俺は確信した。この愛璃という嬢は、やはり特別なのだと。
「愛璃ちゃんで、お願いします!」
俺が語気を強めて告げると、通話状態である事に気付いたのだろう、店員の息を呑む声がする。
その後はしばし、困惑したような唸りが聴こえていた。
「是非!」
俺はさらに押す。ここが交渉時だ、プレミア嬢を何としても指名するのだ。
すると数秒の沈黙の後、ついに小さな溜め息が聴こえてくる。
「…………わっ……かりました、愛璃ちゃんですね。
 ただ言っときますけど、あんまりサービスの方は期待しちゃ駄目っスよ。
 一応研修はしたんですけど、正直まだ接客向きの態度じゃなくって……。
 指名料はオマケしときますんで、そこんとこ大目に見てやってください」
まるで腕白娘を紹介する親のように、店員は声を潜めてそう告げた。





店に着いたのは、予約時間である16:00より30分も前だった。
当然、時間までは1階隅の待合室で待機するのだが、その道すがら……俺は聞いた。
「おごぉお゛ええ゛…………ッえ゛ぉ、おお、っご…………!!」
凄まじい、えづき声。
普通のフェラチオではまず出ない、AVの中でしか聞いたことの無い声。
それが間違いなく、個室から漏れている。
俺は思わず足を止めた。
しばらくえづき声が繰り返された後、飲み物に噎せたような鼻水の音が3度。
そして、げほっ、ぇほっという激しい咳き込みが続く。
「ホラ、何やってんの。駄目だろ離しちゃ」
いかにも変態親父という感じの声が、咳の音に混じった。
咥えた物を離した事について叱っているのだろう。
もはや疑う余地は無い。
この薄いドア一枚隔てた向こうでは、俺が夢にまで見た、生のイラマチオが行われているんだ。
俺は、早くも逸物が硬く勃ち上がるのを感じた。待ち時間の一秒一秒がもどかしかった。

そして…………ついに夢の時間が来る。
螺旋階段を上がって2階へ。左手突き当たり、フリルだらけのカーテンを越えれば楽園がある筈だ。
ところが。
 ――――しまった!
部屋へ一歩足を踏み入れた瞬間、俺は反射的にそう感じていた。
嬢……“愛璃”がブサイクだった訳じゃない。というより、容姿を確認する間さえなかった。
『間違って、女子校生の部室に入ってしまったような錯覚』
俺の全身を支配していたのは、まさにそれだ。冷や汗が背中を伝う。
しかし、一呼吸置いて俺は落ち着きを取り戻した。
よくよく室内を見れば、ありふれたヘルスの個室だ。
オレンジ色の光に彩られ、ダブルサイズのベッドが圧倒的な存在感を誇る小部屋。
女子校生の部室とは似ても似つかない。
ただ、ベッドに腰掛ける愛璃に視線を戻した時、俺は錯覚の理由を理解した。
そこにいたのは、疑う余地も無い完璧な『女子校生』だったからだ。



愛璃はブレザー型の制服を身に着けていた。
ヘルス倶楽部で、制服がコスチュームとして取り入れられている例は珍しくない。
ただ、愛璃のそれはコスプレという風ではなかった。
駅で立っている本物の女子校生を見て、制服のコスプレだとは思わないように、
彼女の制服姿はあまりにも違和感がなさすぎた。
使用感というのか、妙に着慣れている感じがする。
顔立ちもどこかあどけなさを残しており、いよいよ本物の女子校生らしい。
近年は、風俗店が『本物の未成年』を雇って騒ぎになるケースがあるが、もしやこれも……と疑うほどに。
「何?」
あまりにも顔を凝視しすぎていたのか、愛璃は憮然とした様子で告げた。
この態度もまた、先ほどの錯覚の要因だろう。
この愛璃という嬢、常に妙なプレッシャーというか、パリッとした雰囲気を放っているのだ。
それはまさに、高校の部活動で感じられる類のものだった。

俺は嫌がられるのを承知で、改めて顔を注視する。
初めて意識的に見るその顔は、正直、予想を遥かに超えるものだった。
アイドル級。甘い評価でなく、はっきりとそう言える。
コンビニで週刊誌の表紙を飾っていれば、思わず手に取ってしまう。
背中まである黒髪は艶やかで、頭頂部付近の光の輪が印象的だ。
ただ、万人向けとは言い難いルックスだった。
表情が厳しいからだ。
明らかに、こちらの事を警戒あるいは軽蔑している。
眉根は寄り、吊り目気味な瞳はくっきりと開いたままこちらを見据え、口元にも緩みというものがない。
実際、目力は相当なものだ。気の弱い人間なら、2秒間視線を合わせることすら困難だろう。
ただし、俺のような変態にとっては大好物だ。これほどルックスのいい少女に睨まれていると、それだけで興奮できる。

俺はゆっくりと愛璃の方に歩み寄り、ベッドに腰掛けた。
そして愛璃の肩に手をかけてキスを迫る。
しかし、愛璃はにべもなく顔を背けてしまう。その先に回りこんで再度キスを申し入れても、同じこと。
あくまでキスを拒否するつもりらしい。
念の為言うと、ホームページには『即尺、即キス大歓迎!』とあったのだ。
どうやら接客態度がなっていないのは本当らしい。
とはいえ、俺の興奮は些かも冷めない。むしろその冷たい態度が、いよいよ俺の嗜虐心を尖らせていくようだ。



しばしキスを拒絶された後、俺は仕方なく愛璃をベッドに押し倒す。
そして、一枚ずつ彼女の制服を脱がしにかかった。
当然というべきか、愛璃はその時にも抵抗の意思を見せる。
「俺は客だぜ」
そのたび、俺はそう囁いた。すると、愛璃の抵抗が一旦収まる。
さすがにヘルスで働く以上、裸になることを仕方ないとは思っているようだ。
とはいえ、最後のシャツを脱がす瞬間や、パンツのゴムに手を掛けた瞬間にはまた抵抗を見せる。
結局、服を脱がしきるまでに、俺は10回以上も『俺は客だ』と繰り返すハメになった。
その苦労の甲斐あって、とうとう愛璃の肢体が露わになる。
本物の現役女子校生ではという疑念は、俺の中でさらに大きくなった。
身体が本当に瑞々しい。
普段俺が指名するヘルス嬢とは、まるっきり肌ツヤが違う。
オレンジの光の中でも解る、淡い桜色だ。腹部の肌を見ているだけで勃起の感覚が来る。
体型は、腰のくびれも魅惑的なスレンダー型。
けれども乳房のボリュームだけはかなりあり、男である俺の手でも掴むのがやっとのサイズだ。
D、いやEカップか。俺は脳内でそう当たりをつける。

「いい身体してるね。何かスポーツとかやってるの?」
俺は軽く愛璃の身体に触れながら尋ねた。
「まぁ」
愛璃は素っ気無く答える。
「何やってるの?」
「日拳」
2度目に返ってきた答えで、俺は正直少しだけ引いた。
日拳……略さず言うと日本拳法。
直突き(ストレート)の強烈さで知られる、実戦派格闘技だ。
防具をつけて練習するので顔や体に傷がつかず、女性向きといえば女性向きなのかもしれない。
俺は一瞬愛璃の身体から手を離しかけたが、ここで退いては男が廃る。
「へぇ、凄いね」
俺は平静を装いつつ、いよいよ愛璃の肉体を弄り始める。
愛璃の視線が露骨に鋭くなっても、男の意地で怯えは見せない。



見た目通り、愛璃の肌触りは最高だった。やはり本物の女子高生では……3度そう思うほどに。
ボディラインはいかにも女の子で、一見格闘技をしているようには見えない。
ただ、腕を軽く掴むとやはり違和感があった。
力瘤のできる部分の逆側……二の腕の下部がやや発達しているようだ。
太腿にも一般的な女性より若干の厚みがあり、弾力もあり、下半身の力はかなり強いものと思えた。
これらが、日拳をやっている人間の特徴なのだろうか。そう思いつつ触ると、下心を抜きにしても興味深い。
「触り方がキモいよ」
下心抜きに、と思った矢先、愛璃が言った。
氷のような視線、氷のような口調。たまらない。
俺はいよいよ嬉しくなり、愛璃の背後に移る。そして長い黒髪に鼻を埋めながら、乳房に手を回す。
「ちょっ……と」
愛璃は不機嫌そうな声を発しながら、やおら俺の手首を掴んだ。
格闘技をやっているだけあって、相当に力が強い。
俺もかなり力を込めているはずなのに、簡単にぐいと外された。最も、そういうコツがあるのかもしれないが。
「俺は客なんだぜ」
仕方なく、俺は魔法の言葉を囁きかける。
すると、俺の手首を掴む愛璃の手が強張った。そして数秒の躊躇の後、ゆっくりと指が開いていく。
俺は遠慮なく幸せを堪能にかかった。

一時的とはいえ、すっかり大人しくなった愛璃の髪を背後から嗅ぎ、乳房を揉みしだく。
きめ細かい黒髪の内側からは、とてもとても良いシャンプーの匂いがした。
俺は全く知らない類のシャンプーだ。女の子は一体どこで、こういうシャンプーを見つけるんだろう。
乳房もまた極上だ。若干の硬ささえ感じられる、張りたっぷりの乳房。
俺はその芯の残った乳房を揉み解すように、無遠慮に乳房を揉み続ける。
上下左右に大きく揺さぶり、乳首を指先でこねくり回し。
遠くにある風呂場の姿見にも、ボリューミーな乳房の乱れようがはっきりと映っている。
「どう、気持ちいい?」
俺が尋ねると、姿見の中で真一文字に引き結ばれていた愛璃の唇が開く。
「うざい」
紡がれたのは、たったのその一言。
あくまで一呼吸の範囲内でしか会話をしないつもりなのか。
その生意気さは…………俺にとって最高だ。
俺はいよいよ興奮し、愛璃の片腕を高く上げさせる。そして晒された脇の下を、これ見よがしに嗅いだ。
「…………っ!」
露骨に眉を顰めて嫌そうにする愛璃。その顔が、たまらない。
もっと嫌がられたいという、倒錯的な気持ちが沸き起こってしまう。



しばしのスキンシップの後、シックスナインの体勢に入ってからも、愛璃の態度は相変わらずだった。
俺が下になり、愛璃の秘裂を舐める。熱心に。
上になった愛璃は、勃起した俺の逸物をしゃぶる。いかにも気乗りしない様子で。
フェラチオというレベルにすら満たない、緩慢かつ無気力なしゃぶりだ。
上から密着してくる愛璃の肉や、左右非対称とはいえ充分に綺麗な秘裂の味は素晴らしい。
しかし、肝心な嬢の奉仕が杜撰では生殺しというものだ。

俺は無気力な嬢に罰を与えることにした。
この店では様々なSM道具が、無料オプションだけでも色々と用意されている。
その中の一つ……鼻フックを取り上げて愛璃に見せ付ける。
「どう使うか、解るよね」
俺が言うと、愛璃は予想通り表情を険しくする。
険しいが、それでも充分に愛嬌のある顔。それを今から、醜く壊すのだ。
フェチな人間として、これに興奮しない訳がない。
「ンあ゛っ……!!」
勢い良く鼻フックで吊り上げると、愛璃は短く呻いた。
鼻腔は見事な逆三角に変形し、鼻頭は醜く皺を寄せて潰れ、数秒前までの美貌が跡形もない。
なんて罪深いんだろう。俺は胸の中にゾクゾクと沸き起こるその考えに酔いしれた。

ブタ鼻を虐めるのは、想像以上に愉しい。
これでもかというほど執拗に鼻腔の内外を嘗め回し、俺の唾液まみれにする。
指で鼻を浅く穿り回し、その後綿棒やこよりを使って、気が済むまで鼻腔の深くを弄くり回す。
愛璃は凄まじい目力で睨んできていた。
さすが格闘技をやっているだけあって、割とマジで怖い。
ただその瞳も、鼻腔を弄くり回すうちに細まり、痙攣し、耐え難い苦しさに歪む。
かひょっ、ぁひょっと情けない声を何度も喉の奥から絞り出し、やがて目頭から大粒の涙を零す瞬間は最高だった。
軽く10分以上は苛め抜いただろうか。
最後の方には、愛璃の鼻はよく拡がったまま病気のように痙攣するようになっていた。
その頃には鼻水の量もそれは凄まじく、本来は整っている愛璃の鼻から下をグズグズに汚していた。
俺はその無残な姿を堪能しつつ、さらに道具を追加する。
ホワイトヘッド開口器。口を大きく上下に開いたまま固定できる、医療用の道具だ。
口を開きやすい代わりに外れやすくもあり、固定するためには頭後ろに回すゴム紐が必須でもある。
さすがにその辺りは良く考慮してあり、ここのオプション用開口具もゴム付きだ。

口を大開きにさせたまま、俺はしばし愛璃の舌を弄んだ。
愛璃の舌は、他の誰でもがそうであるように生暖かく、程よい弾力を持ちながらも柔らかい。
指で扱くと、身を捩るように指の間で踊り狂う。
口を閉じられないため唾液は垂れ流しになり、俺の手の平から零れては滴っていく。
俺は時々舌を離し、手首を返しながらしとどな唾液を舐め取った。
無味無臭のはずの唾液が、目の前の美少女のものだと思って舐めると媚薬のように感じられる。
それを飲み下した瞬間、俺は自分の中の熱さを堪えきれなくなる。
気付いた時には、痛いほどに勃起した逸物を、開いた愛璃の口内に押し込んでいた。
小さく腰の辺りが圧迫されている。
事態を把握した愛璃の抵抗だろうが、俺の腰を止めるには至らない。
俺は愛璃の艶やかな黒髪に指を絡ませ、深く逸物を咥え込ませた。



シックスナインの時とは比べ物にならないほど、逸物が深く入り込んでいるのが解る。
口を目一杯開いていてもなお、口内の生暖かさが伝わってくるのが新鮮だった。
はっ、はぁっ、という吐息も正面から亀頭をくすぐる。
その中で、俺は逸物の抜き差しを繰り返した。
なるべく奥まで突くようにしつつ、どこまで入るのか試すように抜き、挿す。
8回目の試みあたりから、逸物の先に喉の奥まりの感触がしっかりと伝わるようになってくる。
「んがカっ、えぁ゛…っハァ、ハァ、ハァッ………ぁえあ゛っっ…………はっ、ハァッ…………!!」
犬のように荒い呼吸に混じり、愛璃のえづき声が漏れていた。
涎も垂れ流しになっている。口を閉じられないので、止める術がないらしい。
鼻も豚のようで、実に惨めな有様だった。
強気な娘だ、内心では相当な屈辱を感じている事だろう。
実際、最初の頃は例の鋭い眼光で睨み上げてきていた。
ただそれも疲れるのか、数分した頃には目を細め、視線を斜め下に投げ出すようになってしまう。
苦しさからか、屈辱からか、その細まった目尻からは時おり涙の雫が伝い落ちる。
俺はそれらすべてをたっぷりと愉しんだ。

その後に、俺は愛璃の開口具と鼻フックを取り除いた。
愛璃の可愛らしい頬には、くっきりと開口具の痕が残っている。鼻も真っ赤だ。
「ぷっ、ぷっ、ぺっ!!!」
すぐに愛璃は、口内のものを吐き出しはじめる。
俺の先走りの汁でも吐こうというのだろうか。
俺はそんな愛璃を視界の端に捉えつつ、三つ目の道具を手に取った。
開口マスク。
先ほどの開口具とは違い、完全なSM用の道具だ。
鼻から下を覆う黒いラバーマスクに、一箇所だけ円筒状のリングが嵌め込まれている。
そこへ逸物を差込み、強制的に咥え込ませるという仕組みだ。
「ほら、咥えろよ」
俺はマスクを裏返した状態で愛璃に近づけ、リングを口元に押し付けた。
「やあっ……!」
愛璃は拒絶の言葉を口にしようとしたが、まさにその口の形が、リングを嵌め込むのに最適だ。
俺はすばやくリングを口内に押し込み、マスクを装着させる。
「うっ、うう゛う゛っ…………!!」
愛璃の非難は、すぐにくぐもった響きに変わった。
前の開口具より、声を遮る効果が高いらしい。
俺はまた新しい興奮を覚えながら、黒マスクの穴へと逸物を潜り込ませていく。



今度の抽迭は実にスムーズだった。
さっきは口を大きく開かせていた分、挿入する角度を工夫しなければならなかった。
ところが今回は、ただリングの中に突っ込むだけだ。何の迷いもない。
口内自体も、さっきより締まりが良い。
逸物の先が喉の突き当たりに届くと、漏れなく口粘膜が肉幹に纏いついてきて堪らない。
全く喉を突かなくても、狭まった口内の生暖かい呼吸が、はぁはぁはぁはぁと逸物に吹きかかる。
それはごくごく弱いフェラチオのようなもので、くすぐったい快感があった。
射精には至らないにせよ、萎えない程度のクールダウンにはもってこいだ。
そして、何より。
「んごぉおお゛ぇええ゛っ、おうえ゛っ…………!! んごっ、お、あお゛おぉっ、お゛、お゛っっ…………!!」
このえづき声だ。
一切遠慮の必要がなくなった俺は、愛璃の頭を両手で抱え込み、自分の腰に押し付けている。
もう喉奥を突くなんて事は当たり前。喉奥の窄まりを突破し、さらにその奥の空間に亀頭を滑り込ませる事もある。
凄まじいえづき声は、だいたいそこから亀頭を抜く瞬間に上がった。

そして興奮する要素は、触覚、聴覚のほかにもう一つ。視覚もある。
開口具と鼻フックの時は、意図的に愛璃の相好を崩していたが、今度は素の顔が見える。
目を固く瞑って、額にいっぱい汗をかいて咥えこむ愛璃の顔は、もう反則的としかいえないほどに可愛らしい。
いつの間にか、俺の足を押しやろうとする抵抗もすっかり弱まっていた。
時々反射的にそういう動きをするものの、大抵は俺の膝上を小さい手で掴んでいるだけだ。
イラマチオを受けている最中は暴れるなと、店から指導を受けているのかもしれない。
あるいはあまりの辛さに、呆然としているのかもしれない。
いずれにせよ好都合。
俺は幾度も幾度もリングの中で逸物を前後させ、時には引き抜いてもみた。
リングから、まず唾液で濡れ光る逸物が現れ、それを追うようにして真っ白な唾液が零れ落ちる。
愛璃自身は虚ろな瞳を開いたまま、俯きがちに喘ぐ。前髪や額から汗が次々と噴きだし、滴る。
その色っぽさを堪能すれば、また咥え込ませる。
それを繰り返した。その果てに、俺の射精感は刻一刻と高まっていく。
ここ数年来なかったほどの、膨大な射精の予感がする。
長く楽しみたい思いは、ついに射精欲求に負けた。
俺はいよいよ激しくストロークを繰り返しながら、喉の深くでぬるい空間へと精をぶちまける。
予想通り、凄まじいまでの射精だ。逸物の内部が幾度も幾度も脈打ち、精を吐き出していく。

たっぷり10秒は射精した後に、俺は逸物を引き抜いた。
愛璃自身の唾液でべとつくリングを通り抜け、冷ややかな外気の元へ。
「うぇ、えっ…………」
その直後、俺の放った大量の精液が愛璃の口から吐き出される。
可愛い顔から精液が吐き出される様子は、本当にいやらしい。
喉奥まで咥え込まされたのが、よほど苦しかったのだろう。
愛璃は薄っすらと涙を浮かべ、熱に浮かされたような瞳で前方を眺めていた。
「大丈夫か?」
さすがに心配になった俺は、マスクを外しながら愛璃に呼びかけた。
けれども反応はない。最初の頃の、ピリッとした雰囲気が跡形もない。
やりすぎただろうか。そうも思ったが、店で許可されている範囲で愉しんだまでだ。
俺はそう割り切り、せめて時間一杯愉しませて貰おうと、今度は道具なしで逸物を咥え込ませる。
脱力した愛璃を人形のように使い、頭を掴んで前後させる。
舌も動かない。拒絶もない。
けれどもその空しい一人遊びは、それから数分もしないうちに、180度変わることになる。



最初に感じたのは、逸物が握りこまれるような感触だった。
ぎゅうと締まるような感覚。
「うわっ!?」
何事かと驚いている間にも、状況は進行していく。
逸物に舌が絡みつき、口内粘膜が纏わりつき、尋常でない吸引がなされる。
じゅくっ、じゅぶっという水音が部屋に響き始める。
「あ、うわぁあああっ!!?」
俺は思わず叫んでいた。快感があまりに大きい。
先ほどまでのイラマチオも、人生初の劇的な体験だった。
ところが今のこのフェラチオは、その記憶をさらに上書きするほどに凄まじい。
『腰が抜ける』という感覚を、俺は生涯初めて、身を以って体験していた。
とても立っていられない。
縋るようにベッドに座り込み、膝立ちでなお逸物に吸い付いてくる愛璃の玩具と化す。
「ん、んふっ…………ん、んふぅん…………」
愛璃は小鼻から愛らしい息を漏らしながら、ただフェラチオに没頭していた。
とろんとした目の様子こそマスクを外した時と変わらないが、それ以外の全てが一変している。
「あああああああぁああっ!!!!!!」
俺はまた叫んだ。快感が強すぎて、叫ぶ以外の行動が取れない。
格闘技の熟練者に殴られ続ける間は、ただ叫ぶしかないように。
そうだ……これは、暴力での一方的な蹂躙と同じだ。
「ヤ、やぇっ…………ちょっ、ほんと、に…………!!」
俺は自分でも情けないと思える声を出していた。
大量射精したばかりの、鈍痛さえ覚える逸物から、問答無用に搾り取られる苦痛。
それは声を裏返すに充分だった。

何分もっただろう。いや、何十秒堪えられていただろう。
俺はもう堪らず、一度出したにも関わらずかなりの量を射精していた。
射精の最中に声は出せなかった。歯を真一文字に食い縛り、バーベルを上げるような気迫で射精していた。
さらに、それでもなお愛璃は止まらない。
射精した尿道の中身を、異様な吸引力で吸い上げ始める。
射精に次ぐ射精、その直後の尿道責め。これには、俺の内腿がビクンビクンと痙攣を始めてしまった。
「おい、おい!! やめろよっ、休めよ…………!!」
俺は叫んだ。愛璃は何かに憑かれたように、一心不乱に精液を吸い上げている。
やばい、やばいやばい。
俺が脳裏にその言葉を繰り返し始めた頃、唐突に吸引は止まった。
「………………あれ………………?」
気の抜けるような愛璃の声が発せられる。
その後、彼女は自分の精液まみれの手の平を見やり、目の前の逸物を眺めて……
やってしまった、と言わんばかりに、大仰な溜め息を吐いた。



「いっやぁ、あれは気持ちよかった。最高だ!!」
俺は愛璃に賞賛の言葉を送る。
本心の一部でもあったし、そう言えば愛璃が困ると解ってもいるからだ。
「うるっさいなぁ、もう…………。
 あくまで、仕事だからやったんだからね。最後の最後にさぁ」
愛璃は、鋭い目つきで俺を睨み上げながら告げる。
纏う雰囲気は最初と同じ。
けれどもなぜか今は、まるで違って思えるのが不思議だ。
「あ、でもノリノリでやってたとか誤解招きそうなこと、店員にとか、ホムペの掲示板で言わないでよ?
 もし言ったら、次から絶対NG客にするから!」
憤慨した様子でまくし立てる愛璃の頭を、俺は優しく撫でた。そういう気分だった。
「じゃあ、言わなきゃまた会ってくれるんだよな?」
からかうように俺が言うと、愛璃は唇を真一文字に引き結ぶ。
しかしその膨れ面からは、ついに否定の言葉が出てこないのだった。


                        終

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プロフィール

Author:燻製ねこ
2chを名無しで彷徨う流浪の物書き。
百合とアナルが主食。
強い女と性拷問も大好き。

ゆっくりしていってね!

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